生後6か月~4歳のお子様のご自宅にはそろそろ新型コロナワクチンの接種券が届く頃ではないでしょうか?当院でも、予約の受付が始まりました。
まず前提として、ワクチン接種目的は、感染・発症予防だけでなく、 重症化予防, 周囲のリスクのある人への感染を軽減することにあります。その上で、メリットとデメリット(副反応)を考え、どうするかを決定するとよいでしょう。
まずは、簡単なまとめですが、
【背景】
1.オミクロン株流行期以降は、小児の感染例増加に伴う死亡例が増加
(入院を要する例も増加)
2 基礎疾患がなくても、感染により重症化する可能性がある
【ワクチンの効果】
オミクロン株BA・2流行期における発症予防効果は、73%
【ワクチンの安全性】
1.発熱など、一般的な副反応は、プラセボと同程度
2.重篤な副反応として米国の予防接種安全性監視システム(VAERS)に報告されたのは
ファイザー社製ワクチン約60万人への接種のうち10例。心筋炎の報告はなし
以上より、1)新型コロナウイルス感染症は稀ではあるが重症化する可能性がある、2) ワクチンはオミクロン株にもある程度有効である、3) 安全性については問題なし、と考え
私としては,メリット>>デメリットより、接種を推奨しております。日本小児科学会からも先日、接種を推奨する声明が出されました。生後6か月以上5歳未満の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方|公益社団法人 日本小児科学会 JAPAN PEDIATRIC SOCIETY (jpeds.or.jp)
より詳しく知りたいという方は以下もお読みください。
まずは、背景について。
オミクロン株流行前までの2021年末までは、20歳未満の死亡例は3例でした。しかし、オミクロン株流行期以降、2021年1月1日~8月31日の期間で20歳未満41例の死亡が報告され、特にオミクロンBA・5流行期の7月中旬より顕著に増加しています。
詳細の明らかな29例のうち14例 (約48%)が5歳未満でした。また、基礎疾患のない例が約半数でした。死因としては、急性脳症や心筋炎・不整脈が多かったです。また、第7波の時には重症例ではありませんが、クループ, 熱性痙攣や発熱・嘔吐に伴う脱水により入院を要する例もみられました。
では、ワクチン効果はいかがでしょうか?
オミクロンBA・2流行期に約73%の効果がみられました。他の年齢層の報告をもとに考えると、重症化予防効果も期待できるでしょう。
安全性が最重要という方もいらっしゃるでしょう。ご自身の接種後の発熱や倦怠感の辛さから、接種を躊躇されている方も少なくないと思います。
まずは、治験データからですが、
まずは一般的な副反応についてです。
下図は生後6か月~生後23か月の副反応の頻度を示しておりますが、発熱例は、ワクチン, プラセボいずれも7.2%で同等でした。
2~4歳についても同様の傾向がみられました。
治験データは約4,000人です。もっと大規模な人数ではどうなの?稀な副反応は?
と気になるところでしょう。
米国は、予防接種安全性監視システム(VAERS) により、稀な副反応もしっかり拾い上げています。ファイザー社製のワクチンは約60万人の接種で、重篤な副反応(因果関係が明らかでないものも含む)とされたのは10例で、そのうちけいれんが5例をしめました。なお、心筋炎の報告はありませんでした。
この記事が少しでも、保護者の方の決定のお役に立てれば幸いです。
新しい情報が入れば引き続き更新していきますので、よろしくお願いいたします。
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