今日は、おたふくカゼのワクチン (ムンプスワクチン) についてお話していきます。
1.おたふくカゼに感染した時の問題点
難聴があげられます。国内の報告では、ムンプスによる難聴の合併率は100~170/10万人とされています。日本耳鼻科学会によると、2015~2016年の2年間に少なくとも348例がムンプス難聴と診断されました。多くは小学校低学年であり、その約80%に高度難聴を後遺症としてみとめました。
2.ムンプスワクチンの歴史
1989年:MMRワクチンが1~6歳を対象に定期接種として導入
→ 接種者の0.16%が無菌性髄膜炎→1993年に中止
現在、ムンプス単独ワクチンによる任意接種のみとなっている
3.有効性
国内でのムンプス単独ワクチンんの有効性に関するデータは乏しいです。海外で使用されているJeryl Lynn株を用いたMMRワクチンの有効性は83~95%とされています。
4.安全性
副反応として無菌性髄膜炎が問題となりますが、ムンプスに自然罹患した場合と比較すればその合併頻度は低いです。
兵庫県の研究で約2万回の接種で0回だったという報告もあります↓↓
参考文献
1.Hashimoto H, The pediatric infectious diseasejournal 2009;28:173-5
2.【参考資料2】2015-2016年にかけて発症したムンプス難聴の大規模全国調査(日本耳鼻咽喉科学会プレスリリース資料) (mhlw.go.jp)
3.吉田元嗣, 小児感染免疫 2021, 33; 211-216.