おたふくかぜワクチンの安全性

日本小児科学会では、1歳と就学前後での計2回のおたふくかぜワクチンの接種が推奨されています。

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https://www.jpeds.or.jp/uploads/files/vaccine_schedule.pdfより改変し引用

おたふくカゼワクチンは、一時期供給が制限されておりましたが、昨年11月に解除されてからは、多くの方に予約をいただいております。それだけ、需要のあるワクチンなのになぜいまだに公費化されていないのか?それは、1989年に導入された、麻疹・風疹・おたふくかぜ混合ワクチン (MMRワクチン) が副反応としての無菌性髄膜炎 (発症頻度0.16%) によって、1993年に中止にとなったことが原因とされています。

 

今回は、兵庫県でおたふくかぜワクチンの安全性を調査した研究を紹介します。

タイトル:兵庫県で実施したおたふくかぜワクチンの安全性調査

筆頭著者:吉田元嗣 (兵庫県小児科医会) 

雑誌:症に感染免疫 2021, 33; 211-216.

 

📕どんな研究?

兵庫県内の115の医療機関おたふくカゼワクチン接種後4週間以内に発症した無菌性髄膜炎疑い例と唾液腺 (耳下腺・顎下腺) 腫脹例を調査した。

📕結果は?

総接種数は、24, 467回で、1回目接種は20,541回, 2回目接種は3,926回であった。

年齢分布は、1回目は1歳が66%を占め、2回目は5歳 (27.8%)が最も多く、6歳 (21.9%), 10~19歳 (14.8%) と続いた。

副反応として、髄膜炎疑い例はなかった。唾液腺腫脹は21例に報告された。1回目接種が19例、2回目接種が2例であった。全例でウイルス検査が実施され、検出された11例のうち、ワクチン株8例、野生株が3例であった (=3例はワクチンの副反応ではなく、ウイルス感染による)

 

🎤コメント

ワクチンによる、無菌性髄膜炎の頻度は、明らかに自然感染するよりも低い。少しでも早い公費化がのぞまれます。