乳児期の湿疹の早期治療により食物アレルギーの発症を予防できる

当院では、乳児期の湿疹に対して、アトピー性皮膚炎と判断し、早期にステロイド軟膏を中心とした治療を積極的に行っております。その根拠となる論文を2回に分けて紹介していきたいと思います。

 最初は、国内の報告から。

タイトル:食物アレルギー発症予防を目的とした乳児期早期の湿疹に対するプロアクティブ療法の効果:後方視的ケースコントロールスタディ 

筆頭著者:山崎晃嗣

雑誌:近畿大医誌, 41, 9-16, 2016

 

まずは結論から「乳児期早期からの湿疹治療により食物アレルギーの発症と複数の食物アレルギーの予防効果が認められた

 

詳しく知りたい方は以下もお読みになってください😃

 

研究の概要は、

【対象】

近畿大学医学部小児, 市立貝塚病院小児科を湿疹を主訴に受診した

生後0~11ヶ月時

【湿疹に対するアプローチ】

湿疹に対しては、ステロイド軟膏を積極的に使用し、皮膚炎の状態を改善させた

調べたことは?

生後4ヶ月以下で受診した早期群66名生後5ヶ月以上で受診した晩期群62名

の間で、1歳半までの食物アレルギーの発症頻度を比較した。

【結果】

1)食物アレルギーの発症

早期群 (生後4ヶ月以下で受診)9/66人 (13.6%)の発症に対し、後期群 (生後5ヶ月以降に受診)では、19/62人 (30.9%)の発症率でした。

2) 食物アレルギーを発症した児のアレルゲンの数は、早期群の児は、9名全例が1種類のみであったが、晩期群では5/19名 (26%)が複数のアレルゲンに対して発症していた。

 

論文より引用し、微調整



【結論】

乳児期早期からの湿疹治療により食物アレルギーの発症と複数の食物アレルギーの予防効果が認められた

 

【コメント】

乳児の湿疹への早期からのステロイド軟膏を用いた積極的な介入については、一部の皮膚科の先生&小児科の先生 vs  小児アレルギー専門医 (私はこちら側)で議論になることがありました(今も?)

当院では、生後2ヶ月の予防接種時より、湿疹を認めるお子様に対して介入させていただいております。最近は、食物アレルギーを発症した子を以前より見なくなったような