夏休みに入り、子宮頸がんワクチンの接種に来院する方が増えてきました。
今日は、子宮頸がんワクチンが子宮頸がんの発症リスクを減少させるというという2020年に発表された論文を紹介させていただきます。
これまでは、子宮頸がんの原因となるヒトパピローマウイルス (HPV) の感染予防効果やがんの前段階となるリスクを下げるという報告はありましたが、実際にガンの発症リスクを下げるという報告は初めてであり。インパクトのある論文でした。HPVに感染してからガンを発症するまで10年以上かかるので、検討が容易ではなかったのです。
論文は、下記です。可能な範囲で一般の方も理解しやすいように解説していきたいと思います。
2006年から2017年のスウェーデンの全国民のデータベースを用いて、10-30歳の女性約167万人を調査しております。
その後の子宮頸がん発症を、4価の子宮頸がんワクチンを少なくとも1回以上接種した
527,871人と未接種の1,145,112人で比較しております。
まずは子宮頸がんの発症リスク減少効果です。
ワクチン接種することで接種しない場合と比較して、子宮頸がんの発症リスクは0.37倍、つまり63%減少します。17歳未満での接種の場合は、その効果は88%減少まで上昇します。
次の図では、10万人あたりの累積発症者数を示しております。(前図は1年間における10万人あたりの発症者数)
17歳未満で接種すると発症をほぼ抑えられることが読み取れるかと思います。
どうして17歳未満での接種がのぞましいかというと、初交前の接種がのぞましいからです(初交から感染のリスクがあります)
以上、簡単でしたが、論文の概要を説明させていただきました。
まだまだ接種に来院される方は少なく、少しでも多くの対象の女性に接種できるよう取り組んで行ければと思います。