ヒトパピローマウイルスが子宮頸がんの原因で、生涯に80%以上の方が1度は感染することを前回はお話ししましたね。今日は、ヒトパピローマウイルスとワクチンについて、より踏み込んで解説していきたいと思います。
【ヒトパピローマウイルスについて】
ヒトパピローマウイルス(HPV)には、200種類以上の病原性がありますが、がんを引き起こす可能性のあるウイルスはごく一部です。
★高リスク型:子宮頸がんの原因です。HPV16型, HPV18型が中心。
その他、31, 33, 35, 39, 45, 51, 52, 56, 58, 59, 66, 68型などがあります。
☆低リスク型:尖圭コンジローマの原因です。HPV6型, HPV11型があります。
ここからは、高リスク型の中でも、特に重要なHPV16, 18について解説していきます。
1.子宮頸部病変の強さとの関係
病変が強いほど、HPV16, HPV18の陽性率が高くなっています。
2)子宮頚がんにおける年代別HPV16/18
40歳未満では、HPV16/18陽性率が極めて高くなります。
【子宮頸がん (HPV) ワクチンについて】
HPVワクチンは、HPVの殻の大部分を構成するL1タンパク質を遺伝子組み換え技術で生成したウイルス様粒子 (virus-like particles:VLP) を抗原として作られたワクチンです。
ウイルスのDNAを含まなのいので、感染力がなく安全です。
現在、わが国で定期接種となっているのは以下の2種類です。
・サーバリックスR (2価):HPV16, HPV18 (高リスクHPV) をカバー
・ガーダシルR (4価):HPV16, HPV18に加えて、HPV6, HPV11(低リスク) をカバー
対象は、12歳になる年度初日~ 16歳になる年度末日までの女児です。
これで約70%のHPV感染が予防可能となります。
計3回の接種が必要で、スケジュールは、
サーバリックス:2回目が初回より1カ月後、3回目は初回より6カ月後
ガーダシル:2回目は初回より、2か月後、3回目は初回より6カ月後
となります。
※当院では、ガーダシルを採用しています。
また、自費 (26,000円/回×3) となりますが、昨年度に、9価ワクチンである、シルガードRが承認されました。ガーダシルR に含まれる(HPV16/18/6/11)に加えて、高リスク型の31/33/45/52/58
を含みます。これにより約90%のHPV感染が可能となります。
ワクチンは100%を予防できないので、検診も必要です。