今日は、外来でのお母様からの質問「お父さんがアトピー性皮膚炎。こどもには遺伝しますか?」にお答えします。
まずは結論から、アトピー性皮膚炎になりやすい体質は遺伝しますが、
発症は遺伝子だけで決定されるわけでなく、環境要因もかかわって発症します。
まずは遺伝する確率から、
両親のアトピー性皮膚炎の既往がある場合は75%, どちらかに既往のある場合は56%と
国内の調査報告があります。
フィラグリンという皮膚のバリア機能や保水機能に重要な役割を果たす物質の遺伝子変異が知られておりますが、発症の決め手とまではいえません。
下図のように、遺伝的な要因だけでなく、環境要因もかかわってきます。
対応としては、
出産後、できるだけ早めのスキンケアをお勧めします。それにより、発症リスクを下げることができますし、発症したとしても、最小限の治療で良い皮膚の状態を維持することは可能です。
参考文献
1. 佐伯 秀久, アレルギー患者に対する問答話法 アトピー性皮膚炎は遺伝しますか?
皮膚アレルギーフロンティア. 2021;19:108-111.
2.五十嵐 敦之, 【赤ちゃんとお母さんのためのアレルギー読本】[子ども]-アトピー性皮膚炎-予防 夫がアトピー性皮膚炎なので、子どもの乳児湿疹もそのうちアトピー性皮膚炎になりそうで心配です, 周産期医学. 2018.12;48(増刊):299-300.