トイレトレは焦らず穏やかにお願いします😄

今日は、日本小児科学会誌8月号に掲載された、厳しいトイレトレーニングにより、尿が出なくなり、急性腎不全を起こした女児例について共有させていただきたいと思います。一般の方に、分かりやすくなるよう内容は絞ってお伝えしていること、ご了承お願い致します。

 

筆頭著者:吉田 愛梨

タイトル:トイレットトレーニングによる心理的要因から機能性尿閉と急性腎不全を認めた小児

雑誌:日児誌 126: 1153-1159, 2022

 
【概要】
3歳女児。登園に伴いトイレトレーニングを開始した。昼間に漏れてしまった時に母から厳しく叱責されていた。3週間後に下腹部痛と陰部の疼痛を訴え、近医を受診され、便秘疑いで整腸剤を処方された。しかし、症状は改善せず、排尿回数が1回/日へ減少した。血液検査で腎機能障害をみとめ入院となった。入院後は、尿道留置カテーテルをいれ改善したが、抜去すると自力での排尿がないため大学病院へ転院となった。転院時、
蓄尿量は約400ml (年齢での推定膀胱容量は150ml)であった。精査のうえ、トイレットトレーニングにの心理的要因により機能性尿閉になったと考えられた。1日5回の間欠的自己導尿ができるようになり退院、退院1ヶ月後より、自然排尿が認められるようになり、導尿を中止できた。
 

正常な膀胱 https://medical.jiji.com/medical/013-0144-99より引用

巨大化した膀胱。本文献より
 
【解説】
・小児の急性尿閉の定義は12時間以上排尿できないおよび膨張した膀胱が
 (年齢+2)×30をこえる、とされる
 
排尿の発達として、4歳までに尿意が脳に認識されるようになるが、児はまだその
 段階に達していなかった。さらに、心理的要因により、抑制され、尿意が低下し
 尿閉となった可能性がある。
 
【著者からのメッセージ】
 トイレットトレーニングは、知る(我が子の排尿間隔や排尿直前の姿勢の特徴を知る),促す(定期的にトイレに促す),ほめる(排尿がうまくいった時はほめる)
うまく行かなくても焦らず怒らずトイレが嫌いにならないようにすることが重要
 

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