先日、アレルギー疾患の家族歴のある新生児に対して、生後3日間以内の人工乳の摂取を避けると、牛乳アレルギーのみでなく、他の食物アレルギーの発症を予防できる可能性がある、という研究を紹介させていただきました。
今日は、この研究のその後を紹介いたします。
タイトル:Asthma or Recurrent Wheeze Among Young Children: Extended Follow-up From the ABC Randomized Clinical Trial.
著者:Tachimoto H, Imanari E, Mezawa H, Okuyama M, Urashima T, Hirano D, Gocho N,
Urashima M.
ジャーナル:JAMA Netw Open. 2020 Oct 1;3(10):e2018534. doi:
10.1001/jamanetworkopen.2020.18534.
この研究は2歳までのフォローでしたが、2歳時点でアトピー性皮膚炎があった児を、
6歳までフォローを延長し、その後の、喘息あるいは繰り返す喘鳴の発症を評価し照ります。(喘息と繰り返す喘鳴の違いは論文から読み取れませんでしたが、喘鳴の回数の違いではないでしょうか。3回以上→喘息、2回以下→繰り返す喘鳴)
生後3日間の人工乳摂取を避けた(母乳+アミノ酸乳のみ) (生後4日目以降は人工乳への切替え可能)群(以下、no CMF群) 151名のうち77名、生後24時間以内に人工乳を追加した群 (以下、CMF群) 151名のうち81名に、アトピー性皮膚炎があり6歳までフォローを延長されています。
結果ですが、
1) 喘息あるいは繰り返す喘鳴の発症
no CMF群が15/77 (19.5%)に対し、CMF群が27/81 (33.3%)発症した。
(2) ビタミンDとの関連
生後5ヶ月時に血中ビタミンDの高い群 (中央値より上)で、no CMF群 (6.4%)とCMF群 (24.6%) の間に、喘息あるいは繰り返す喘鳴の発症の差が見られた。
(3) 総IgEとの関連
2歳時点の、総IgEが50IU/mlの群で、no CMF群 (5.3%)とCMF群 (43.8%) の間に、喘息あるいは繰り返す喘鳴の発症の差が見られた。
(感想)
論文をしっかり読み込めませんでしたが、アレルギー疾患発症のリスクのある児に対して、生後3日内の人工乳を避けることは、アレルギーマーチへの進展のリスクを下げることになりそうですね。