【発達支援】【論文紹介】学童期においてADHDはアレルギー疾患と関連がある

 今日は日本小児科学会誌4月号に掲載された、アレルギー疾患と発達障害の関連について検討した論文を紹介します。

 一般の方向けにざっくりとした記載になっていることご了承ください🙇

 論文は、

筆頭著者:溝口達弘

タイトル:学童期における発達障害とアレルギー疾患の関連性

雑誌:日本小児科学会誌, 127 (4), 2023, 567~576 

 です。

 

まず最初に結論から、学童期において (ADHD) とアレルギー疾患は関連がある

 

興味を持った方は、下記もお読みくださいね。

 

✎どのような研究?

2018/1/1~2018/12/31の期間に佐賀県のある国立病院の小児科を受診した6歳以上~12歳未満の小児を対象としています。学童期における発達障害 (ASD自閉スペクトラム症, ADHD:注意欠如多動症)とアレルギー疾患の有病率について、診療報酬情報で使用する診断名を用いて後方視的に検討した研究です。

対象者の概要。文献より引用

✎結果は?

(1) 発達障害 (ASD, ADHD)の有無とアレルギー疾患

ASDあるいはADHDが「あり」vs 「なし」は喘息 42% vs 20%, アレルギー性鼻炎 32.1% vs 13.6%, アトピー性皮膚炎 24.8% vs 8.7%, アレルギー性結膜炎 12.4% vs 3.9%で、

ASDあるいはADHD「あり」の方が有意に罹患率が高いという結果でした。

文献の表を改訂して引用

これは、男女別に分けても同様の傾向がみられました。

(2) ASD (自閉スペクトラム症)の有無でのアレルギー疾患有病率

発達障害 (ASD or ADHD)「あり」をASDの有無で分けて解析しています。

ASDの「ある」「なし」でアレルギー疾患の有病率は男女ともに有意な差はみられませんでした。

(3) ADHD (注意欠如多動症)の有無でのアレルギー疾患有病率

男児ADHDあり (n=84) とADHDなし (n=16)でアレルギー疾患全体が54/84 (67.9%) vs 4/16 (25%), 気管支喘息が41/84 (48.8%) vs 2/16 (12.5%) でADHD「あり」の方が有意に罹患率が高いという結果でした。女児は人数が少なかったためか差がみられませんでした。

(4) ASD, ADHDとアレルギー疾患の関連

多重ロジスティク回帰分析という方法を用いて、ASD, ADHDと関連する因子を検討したものです。95%信頼区間が0をまたいでなければ統計学的に有意な差と判断します。

ADHDは、気管支喘息, アレルギー性鼻炎, アレルギー性結膜炎と関連がみられました。

ASDアトピー性皮膚炎と関連がみられました。また、食物アレルギーと負の関連がみられました。

文献のデータを用い改変し引用

✎著者らの結論

学童期における発達障害を有する児はアレルギー疾患の有病率が高く,特に注意欠如多動症とアレルギー疾患との関連性を認めた.

 

✎コメント

 以前より、アレルギー疾患と神経発達症の関連が報告されてきましたが、同様の結果でした。どうして関連しているのか機序は明らかではありませんが、アレルギー疾患と神経発達症はともに遺伝的要因と環境要因が発症要因となると考えられており、両者に共通する遺伝的および環境要因を伴う可能性が示唆されています。

 ASDと食物アレルギーが負の関連を示した理由として著者らは、外来受診時点での病名の検討であり、食物アレルギーは乳児期に発症し、就学前に治癒することが多いので、反映されなかったという可能性があると考察しています。偏食は関連しているのだろうか?あとは、アトピー性皮膚炎との関連は、ASD児で触覚過敏があると、軟膏を塗らせてくれず、学童まで長引いてしまっているということもあるかもしれません。

 ADHDに関しては、アトピー性皮膚炎で皮膚の状態が悪いと、それだけで落ち着かなくなり、ADHD様の症状を示すことがあります。また、喘息も症状があると、睡眠の質が悪くなり、不注意をみとめる可能性があります。そのあたりも関連しているのかもしれません。

 この研究の限界点はいくつか上げられます。1) 病院に通院している患者さんという特殊な集団であること (例.喘息が20%以上) 2) アレルギー疾患、神経発達症の重症度がそれぞれ高いこと 。アレルギーや神経発達症の中でも偏った集団である可能性があります。

少なくともアレルギーの軽症例はクリニック管理が多いと思います。3) 病名だけからみた検討であること、などです。

 今後は、一般的な集団での前向きかつ詳細な検討がのぞまれるところです。