新型コロナワクチン 5~11歳への効果は31% 

今日は、今更ながら、米国3月にCDCより発表された、5~15歳への新型コロナウイルス感染症に対する、ファイザー製ワクチンの効果について解説していきます

Fowlkes AL, et al. Effectiveness of 2-Dose BNT162b2 (Pfizer BioNTech) mRNA Vaccine in Preventing SARS-CoV-2 Infection Among Children Aged 5–11 Years and Adolescents Aged 12–15 Years — PROTECT Cohort, July 2021–February 2022. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. ePub: 11 March 2022.

 

以前にもCDCからの報告を紹介させていただいたと思います。

 

teammanabe.hatenablog.com

これは、救急外来を受診した患者さんを対象 (=症状がしっかり出ている人)としており、新型コロナワクチンを受診14~67日前に2回目の接種をしていた例では、オミクロン株に対する予防効果(95%信頼区間)は51 (30~65)%でした。

 

今回は、2021年7月~2022年2月の期間に、症状の有無にかかわらず、毎週PCR検査をした5~15歳、1364名が対象となっております。すなわち、無症状や軽症が含まれ、以前に紹介した救急外来における報告より、対象者が軽症ということになります。

 

また、検体を全て遺伝子解析していることとマスク装着時間も加味して解析していることも、先日の論文との大きな違いです。例えば、学校でのマスク装着時間(%)は、ワクチン未接種児は60%に対し、ワクチン接種児は84%統計学的な差が見られました。

ワクチン接種する人と接種しない人って、行動にも差が見られる可能性があるんですね

 

さて、結果ですが、新型コロナに感染した人は508名 (37.2%)でした。この軽症の集団では、ワクチン接種と未接種で感染時の症状に大きな差は見られませんでした。例えば、感染者のうち発熱した人の割合は、未接種69%に対し、接種57%で統計学的な差はありませんでした(例数が増えれば差がでるでしょう)その他、差の出た指標もありますが、感染後の経過に大きな差はありませんでした。

 

さて、気になるワクチンの効果ですが、

まずは、5~11歳のオミクロン株への効果です。2回接種14~82日後(中央値:53日)の

感染予防効果(95%信頼区間※)は31% (9~48%)でした。

※95%信頼区間はざっくりいうと、100回中95回, ワクチンの効果がその範囲に含まれるということです。

5~11歳のワクチンの感染予防効果。文献より改変し、引用

次に、12~15歳は、2回接種後14~149日 (中央値42日)では、感染予防効果(95%信頼区間)は、59% (22~79%) (下図②)でしたが、2回接種後150日以降では、62% (-28~89%) (下図③)となってしまいました (95%信頼区間がゼロをまたいだのでワクチンの効果は有意ではない

12~15歳におけるワクチンの感染予防効果。文献より改変し引用

以上、私なりのまとめですが、

1) ワクチンの感染予防効果は数ヶ月で低下してくる。

2) 12~15歳の方が5~11歳より予防効果が高い。

3) 軽症例を対象とすると、接種と未接種で症状や経過に決定的な差はない

 ただし、一定以上の重症例を対象とするとICU入室率など経過に差が出ると思われる

 

万が一の重症化に備えるなら、今から接種した方が良いでしょうし、効率良く感染予防効果という方は感染者数がまた増加してきたら接種(その前に感染してしまうリスクを承知したうえで)、mRNAワクチンへの不安があるなど迷っている方ははもう少し待つとよいかもしれません。