【学会メモ】自閉スペクトラム症と嗅覚

学会メモでは、各種学会のオンデマンド配信でとても有用だった内容を紹介しております。今回は、日本児童精神青年医学会より。自閉スペクトラム症と嗅覚について講演がとても面白かったので、演者の先生の迷惑にならなさそうな範囲で共有させていただきます。あくまでも私のメモの共有なので、内容の正確性は保証できません🙏メモなので出典は提示しておりません🙏論文を読んだら紹介させていただきます

 

・嗅覚を規定する遺伝子は数百 (他の感覚は10個ほど)  

嗅覚と精神疾患の関係は注目されている

 例. ✎アルツハイマー病の患者さん達は、左の鼻腔は右の鼻腔と比較して10cm近づけないとピーナツバターの匂いを認識できなかった (=左の嗅覚低下

  ✎嗅覚同定力の低下は統合失調症のリスクファクター?

自閉スペクトラム症と嗅覚の関係

  ✎自閉スペクトラム症の指標 (AQスコア) と嗅覚も含めた感覚スコアは関連する

  ※AQスコアは当院でも検査できます

  ✎自閉スペクトラム症児がある場所を避けるのは嗅覚と関連している可能性がある

  ✎偏食の半分以上は嗅覚特性によって説明できるという報告もある

自閉スペクトラム症児と嗅覚の研究

      ✎自閉スペクトラム症児は、定型発達児は定型発達児よりありふれた匂いに鈍感

  ✎自閉スペクトラム症児は異なった視覚情報下で嗅覚同定力が低下

   定型発達児は変化無し

          =複数の感覚情報が入ると嗅覚同定力が低下

  ✎自閉スペクトラム症児は定型発達児と比較して嗅覚適応力 (匂いへの慣れ)

          が弱い

  ✎自閉スペクトラム症者は匂いが提示されてから542ミリ以降に定型発達者と

   異なる脳活動を呈する 

・自閉スペトラム症児の嗅覚に注目する意義

  ✎女児自閉スペクトラム症児の早期発見

   女児で味覚・嗅覚・触覚の感覚調整障害が強い傾向

  ✎嗅覚同定力とvineland-Ⅱのコミュニケーションスコアや異常行動チェック

   リストと関連あり

  ✎社会不適応の予測因子

  ✎自閉スペクトラム症者はにおいを状況の文脈の中で異なって捉えている可能性

   がある 

  ✎コミュニケーションの苦手さが嗅覚特性性に由来する可能性がある

  ✎におい環境は介入効果の予測因子

   自閉スペクトラム症児は模倣を開始するまでの時間は対象の馴染みにかか

   わらず母親のにおいにより短くなる

  ✎薬剤の効果の指標

   バソプレシン1a受容体拮抗薬は嗅球のバソプレシン受容体に作用し社会コミュニ        

   ケーションの改善を期待した薬剤。嗅覚特性が薬剤の効果を評価する指標

   となる可能性がある

  ✎対応としては、ガムをかむ, 海外では嗅覚神経衰弱 (絵と匂いの種類のマ

   ッチング)など

 

嗅覚って聴覚や触覚ほど注目されていないので興味深かったです。聴覚過敏によりパニックになったときの別の感覚刺激としか使えないかなど検討していきたいなと思います。