【論文紹介】自閉スペクトラム症における多重人格について

今日は、自閉スペクトラム症における多重人格についての論文を読んだので紹介させていただきます。

 

論文は下記です。

筆頭著者:若山和樹

タイトル:自閉スペクトラム症に見られる解離性同一障害の病理と治療

雑誌:小児の精神と神経, 63 (2), 129-137, 2023 

 

著者等は、自閉スペクトラム症 (ASD)に併存した解離性同一性障害 (DID) (=多重人格)の症例を集め比較検討しました。

 

その結果、深刻なトラウマ体験がみられないにも関わらず (心身症不登校状態ではあった)ファンタジー没頭の延長上にDIDが生じた症例の存在を確認しています。その一方で、重大なトラウマ経験があり、30~50人以上の極めて多くの数の部分人格がみとめられる症例が存在し、STP (Status Tot Personalities) と命名しております。

 

そして、下図のようなスペクトラムとして整理しています

考察では、ASDの自己意識について触れられていました。

定型発達児:自己意識は養育者と一体になった状態から始まり、徐々に養育者より

      分離される。

ASD児:焦点化された認知対象ごとにバラばらの状態から始まる。認知した対象が

    取り込まれ、対象とともにモザイク様の自己が立ち現れ、その後に自己

    が生じてくる可能性がある

    ペットボトルに注意を込めると、自分の一部がペットボトルに吸い込まれた様 

    な認知の仕方になる。

すみません、私はよく理解できませんでした😅

 

ファンタジーへの没頭や取り込み(キャラクターと一緒にお風呂に入る)が見られる子

は、注意して経過を追い、別人格が登場してくるなら、児童精神科の受診をすすめるのがよいかと思います。