今日は、新型コロナウイルス感染による休校の中学生への影響について調査した論文を紹介します。
筆頭著者 (所属):斉藤雄弥 (多摩北部医療センター小児科)
論文名:コロナウイルス感染症2019に伴う長期休校がもたらした中学生への影響
雑誌名:日本小児科学会雑誌, 2021; 125; 949-956
📝どんな研究?
2020年2月28日に政府より一斉休校が要請されたことでほとんどの学校が6月1日まで臨時休校となりました。多摩北部医療センター小児科と東京都清瀬市の教育委員会が協力して、清瀬市清瀬市の公立中学校に在籍する生徒に対して、学校再開後の6月1日~12日の期間に、休校期間中の心情, 体調, 日中の活動, 睡眠に関するアンケート調査が各学校で実施されました。
📝結果は? (重要な質問に絞っているためクエッションナンバーは実際の文献とは異なります)
Q0. アンケートの回収率
生徒1743名のうち1688人より回答が得られました (回収率96.8%)
Q1. 休校中は登校したかった?
2年生が他学年と比較し登校したい生徒が有意に少なかったです。登校したかった理由は、「友人との交流」が最も多かったです。
Q2.学校再開への不安はありましたか?
これが学年間で差がありませんでした。その理由としては、「勉強」と回答する者が多かったです。
Q3.休校中の体調は?
各学年半数以上が体調不良を訴えておりました。その内容として、休校中の睡眠時間がの中央値は1・2年生が9時間, 3年生8時間半であったにもかかわらず、「寝たりなさ」と回答した生徒が多いという結果でした。その理由としては「眠れない」「夜間起きる」などの「睡眠不良」を訴える生徒が約40%存在したからと思われます。
Q4.休校中の過ごし方について
しっかりstay homeしていたようですね。家での過ごし方は、ゲーム, ネット利用, TV鑑賞に最も時間が使われており、その中央値は4時間でした・・・。
📝感想
休校中の中学生の心理状態や体調についての貴重なデータだと思います。今後、感染拡大に伴い休校になる可能性もゼロではないと思います。この論文の結果を踏まえて、学校再開への不安が少なくなるアプローチや自宅で規則正しく生活できる方略を学校の先生方には考えていただきたいなと思います(といっても限度はありますが・・・・)