もっと大事なことに労力を使いたい

病院や診療所が収入を得るためには、行った検査や処方に対し、病名を付けて、組合健保や協会けんぽ、市区町村などの健康保険の保険者に診療報酬を請求します。そこで審査された後に、医療機関に診療費が支払われる仕組みとなっています。この業務を「レセプト業務」といいます。

今月より当院は、事前に不備がないかをチェックするレセプトチェックソフトを導入しました。すると、意外なことがいくつか判明しました。今まで問題なく審査を通過していた病名がたくさんはじかれたのです。

例えば、ナウゼリンRという制吐剤は、当たり前のように「胃腸炎」という病名をつけておりましたが、これでは不適切で、「上気道炎」「胃炎」など病名をつけてくださいと引っかかってきました。ベピオゲルR, デユアック配合ゲルRなどのお薬はこれまで「ざ瘡(ニキビ)」で問題ありませんでしたが、「顔面尋常性ざ瘡」と部位が必要。また、ブルフェンRという痛み止めは、片頭痛の治療の解説を読むと当たり前のように掲載されていますが、「片頭痛」ではダメで「上気道炎」「腰痛」など病名が妥当ですと

ひっかかってしまいました。

これまでは問題なく審査を通過していたし、いいじゃないか、と思いましたが、9月から審査をするのが、人からAIに変わるようです。そうなると容赦なく査定されてしまうでしょう。私は泣く泣く100名以上の方の病名を修正し、スタッフとも情報を共有しました。もっと大事なことに労力を使いたいと思いますが、ルールだししょうがないですね。スタッフよりこれまで審査していた人の仕事はどうなるのでしょう?という優しい質問がありました。審査員は、選ばれた開業医や病院の医師が担当していて、おそらく負担になっていたので、問題ないと思います。