子宮頸がんワクチン接種:WHOの提唱とわが国の現状

これまで、わが国の子宮頸がんの現状, 子宮頸がんの原因 (ヒトパピローマウイルス)と

予防戦略 (子宮頸がんワクチン, 検診), 子宮頸がんワクチン、について解説してきましね。

 

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今回は、WHO (世界保健機構)の提唱とわが国の現状についてお話ししたいと思います。ますは、WHOの提唱からです。

WHOは、子宮頸がんを排除 (基準:4人/10万人年未満 )することを目標に掲げています。

人年とは? 例:1万人を10年間観察すると10万人年となります。

そのために、2030年までに、1.90%以上の女子が15歳までに子宮頸がんワクチン接種を受ける、2.70%の女性が35~45歳までに間に子宮頸がん検診を受けることを提唱しています。

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この目標を達成できれば、2090年頃に子宮頸がんを排除できると予測しております。

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【わが国における子宮頸がんワクチンの歴史】

HPVワクチンはわが国では、2009年に認可され、2009年12月に2価のサーバリックスR

が、2011年8月に4価のガーダシルRが販売開始されました。2010年には13~16歳の女性を対象に自治体ごとの公費助成が開始され、2013年4月に12~16歳の女性を対象に定期接種化されました。しかし、ワクチン接種後に生じたとされる、慢性疼痛を中心とした様々な症状に関するセンセーショナルな報道の結果、わずか2か月で、厚労省から積極的勧奨の一時中止が発表され、現在も続いています。なお、積極的勧奨の中止とは、国や自治体がワクチンを受けなさいと強く勧めることはないけど、接種費用の負担や万一救済が必要になった場合は、国や自治体が定期接種としての制度に基づいた責任を負うというものです。

全国的に約70%であったワクチン接種率は1年足らずで1%未満に激減し、2017年は0.3%でした。こうしたわが国の状況に対してWHOは「ワクチン接種勧奨に変更があるような安全性の問題は確認されておらず、根拠のない腫脹によって、接種率が低迷するなど真の害悪を出している」と批判の声明を出しています

しかし、その後、複数の学会, 医師会や行政の取り組みにより、接種率が約20%まで上昇したことが、最近報道されました。

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