子宮頸がん撲滅に向けたオーストラリアの取り組みの紹介

今回は、先進国の中でも他国に先駆けて子宮頸がん対策に取り組んできたオーストラリアの取り組みを紹介したいと思います。

 

・取り組んでいる事

1) 2013年より4価ワクチンの接種に対象者を男子にも拡大

→現在、12~13歳の男女に定期接種として学校で接種

2) 2007~2009年に13~26歳の女性へのキャッチアップ接種が無料で行われました

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オーストラリアと日本の比較 (山田正興.HPVワクチン接種再開に向けて, 東京小児科医会会報 2020; 39 (1); 22-26より引用)

・成果

1) 14~15歳の接種率は80% (2017年)

2) 4価のワクチンに含まれるHPV6/11/16/18型の感染率は、ワクチンプログラム導入前と比較して、全体で78%減少、ワクチン3回接種群で93%減少, ワクチン非接種群で35%減少。なお、非接種者でも減少したのは、他の人がHPVへの免疫がついたことによる感染リスクの減少によると考えられます。

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萩原温久, 東京小児科医会会報 2020; 39 (1); 27-31より引用

(Tabrizi SN, et al. Assessment of herd immunity and cross-protection after a human papillomavirus vaccination programme in Australia: a repeat cross-sectional study. Lancet Infect Dis. 2014 Oct;14(10):958-66.)

 

・今後の展望

オーストラリアは2028年までに、子宮頸がんと診断される女性は, WHOの撲滅の基準である、女性10万人あたり4例まで減少すると試算しています。