【子宮頸がんの原因】
・95%以上がヒトパピローマウイルス (HPV) の感染が原因。
・感染経路は性的接触によります。
・性交渉の経験のある女性であれば約80%が生涯のうちに感染します。
・感染しても自覚症状はなく、90%程度は本人の免疫により排除されます。
・残りの10%は感染が持続します。
・数年を経て感染者の1%が子宮頸がん前がん病変を発症します
・10数年で0.1% (1,000人に1人)が頸がんを発症します
【子宮頸がんの予防法】
1.子宮頸がんワクチン (1次予防)
HPVが子宮頸部上皮へ感染するのをほぼ100%防ぎます。しかし、すでに感染しているHPVの排除や前がん病変の進行を遅らせたり、消滅させたりするような治療的な効果はありません。従って、初交前の接種が最も有効です。
2.子宮頸がん検診 (2次予防)
検診により前がん病変を早期発見します。
【ワクチンと検診は両方必要なの?】
ワクチンだけあるいは検診だけでは子宮頸がんの予防には不十分です。両方受ける事で、ほぼ完全に予防できるようになります。
1.ワクチン
定期接種化された、2価ワクチン (サーバリクスR) や4価ワクチン (ガーダシルR) で予防できるのは、約65%です。9価ワクチン (シルガードR) は約88%予防できますが、現在のところ自費接種で、当院での接種費用は、26,000円×3回 (合計78,000円)となります。
2.子宮頸がん検診
検診の問題点は2つあります。1つ目は、前がん病変を含めた検出感度には限界があることです。子宮頸がん92例のうち18例 (19.6%)が過去3年以内にがん検診を受けていたという報告があります (森澤宏行, 他. 子宮頸がんおよびCIN3症例のがん検診歴に関する検討.日臨細胞学会誌 2012;51:164-168) 。2つ目は、検診はあくまでも早期発見が目的なので、発見した前がん病変・初期がんの多くは円錐切除による介入が必要となります
※円錐切除とは
円錐切除は、流早産のリスクを増加させます。前がん病変で円錐切除を受けた女性の早産リスクは1.56~2.7倍に上昇することが示されています (Kyrgiou, et al. Adverse obstetric outcomes after local treatment for cervical preinvasive and early invasive disease according to cone depth: systematic review and meta-analysis. Brit Med J 2016;354)
また、わが国の検診受診率は、40%程度で欧米に比べ著しく低率なことも問題となっています (同一人物が繰り返し受診するので、実質はもっと低いかも)