発達性読字障害 (発達性ディスレクシア)とは?

今日は、外来の発達支援外来で対応させていただくことが少なくない、発達性読字障害 (Development Dyslexia:以下DD )について基礎的な部分をお話させていただきます。

 

発達性読字障害とは

発達性読字障害とは、知的能力に問題はないものの、音韻処理能力(言葉の音を頭の中で認識・処理する力)の未熟さにより、読み書きの困難を認める状態です。音韻処理とは、文字を見て、頭の中で音声に変える力(デコーディング) です。音韻処理能力が未熟だと、例えば、「りんご」という文字を見た時に、頭の中では「り・ん・ご?」となりすぐに音が出てきません。それにより、流暢さと正確さに欠ける読み方となってしまい、書字の誤りも見られます。また、文字を読むのに、精いっぱいで内容を理解することまでできないし、本を読まないので語彙や知識不足が生じて理解力が身につかなくなってしまいます。したがって、読むのに使うエネルギーを少なくし、情報理解を助けるための支援が必要です。

診断基準

DDは、当院では、特異的発達障害 診断・治療のための実践ガイドラインにそって診断しています。

特異的発達障害 診断・治療のための実践ガイドライン

 

1年生の2学期後半以降に

1.読み書きに関する臨床症状のチェックリストで7項目以上が該当すること

2.ひらがな音読検査の項目で2種類以上の異常が見られること

3.WISC検査の全知能指数あるいは下位指標のうち1つ以上の指数が85以上である

ことをもって診断しています。

ひらがな音読検査

ひらがな音読検査は、外来で5~10分程度で実施可能です。以下の項目で速度を測定し、同学年・同性別の平均より一定以上遅い場合に「有意」と判断します。

  • 単音連続読み検査: 1文字ずつ読む(拗音「きゃ」や濁音「ぶ」も含む)
  • 単音速度検査(有意味語): 意味のある語(例:「げんかん」)を読む
  • 単音速度検査(無意味語): 意味のない語(例:「むうえて」)を読む
  • 文音読検査: 短い文章を読む

 

支援方法

診断後は、保護者や本人と相談のうえ、以下のような支援を行います。

  • 自宅での取り組み: 1日5分程度の練習を提案します。
  • 学校での支援: 読み書きのサポートや授業中の配慮をお願いすることが可能です。

DDは子どもの学習や生活に大きな影響を与える可能性がありますが、早期発見と適切な支援により、多くの困難を軽減することができます。