本の紹介「うちの子は字が書けない」

 今回は発達性読み書き障害をテーマにした本「うちの子は字が書けない」著者:千葉リョウコを紹介します。

 

 発達性読み書き障害(発達性ディスレクシア) とは、知能には問題ないけど、読み書きの能力に特に困難を示す神経発達症の1つです。出現頻度は約7%と考えられています。

40人学級とすると2~3人ですね。

 

主人公のフユ君は、まじめでしっかり者の男の子。小学校5年生の時に発達性ディスレクシア)が判明します。その後、自分の特性と向かい合いながら、成長していく様子が描かれています。

 

漫画と監修かつ専門家の宇野先生との対話で構成されていて、一般の方が読んでもわかりやすいかなと思います。

 

学校の先生に発達性ディスレクシアについて理解が得られず漢字で書かないと正解にしてもらえないシーン, ずるいと思われるのではないかと配慮を受けずらい場面, 高校で

赤点でなかったため、合理的配慮は必要がないと判断されたシーンなど、外来からはなかなか分からない当事者の苦労が描かれています。

その都度、前向きな気持ちで障害と向き合う家族の様子に感動します。

 

4月にクリニックに心理士の先生が来てくれるようになってから、発達性読み書き障害(発達性ディスレクシア)の児童を以前よりもピックアップできるようになりました。

しかし、現状では、学校の先生に書面で情報を共有し配慮をお願いすることしかできかません。心理士の先生と相談しつつ、アセスメント・支援でクリニックにできることを広げていきたいと思います。

 

発達性ディスレクシアも早期診断と早期支援が重要です。フユ君のように小学校高学年で診断がつくどころか気づかれずにいる子も少なくないと思います。保護者の方だけでなく、すべての学校の先生に読んでもらいたい1冊です。