【書評】14歳からの発達障害サバイバルブック~告知を受けた本人にはオススメ

 今日は、14歳からの発達障害サバイバルブック (著者:難波寿和) という本を紹介します。

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 著者の難波さんは、当事者であり、30歳を過ぎてから、自閉スペクトラム症, ADHD, そして、2次障害としてうつ病 と診断されました。現在、心理士の先生として、発達支援の仕事をしていらっしゃいます。

 各項目が見開き2頁で構成されており、左側に悩み, 右側にアドバイスが記載されています。例えば、おっちょこちょい対策という項目では、左側の悩みの部分では、「物が多い」「外出時に捜し物をする」「聞いてもすぐに忘れる」、それに対して右側のアドバイスの部分では、「置く場所を決める」「カバンを分ける」「メモをする」などの対処法が、豊富なイラストを用いて分かりやすく、理由とともに解説されています。

 内容も、「学校・就労」「日常生活」「パニックの対処」「感覚過敏」「友達関係」「恋愛・結婚」「病院受診」「障害理解・受容」と多岐にわたります。まさにサバイバルブック。

 私が一番いいなと思ったのは「恩返しをする」という部分です。コミュニケーションは「ギブ&テイク」自分から何かを差し出さなければ相手は何もしてくれません。支援を受ける側も感謝する, 笑顔で返す, 相手の助かるお手伝いをする、ことも必要です、ととアドバイスがありました。うん、その通りですね。私の外来では、この部分はあまり意識できておりませんでした。

 その一方で、細かいのですが、う~んと思った部分も。恋愛のところのアドバイス

「恋愛小説を読んで一般的な恋愛の方法を学ぶ」とありましたが、これはちゃうやろ😅

 この本をオススメする層は、すでに告知を受けており (告知を受けていなくても自分自身に違和感を感じている)、ある程度自己分析(メタ認知)できている、思春期以上の

です。読むことで、自分のこういうところも特性だったのかぁ、あの時こうすればよかったのかなぁ、など、より自分をみつめ、日常生活を乗り切っていく一助となると思います。私も高校生ぐらいの時にこういう本があったらよかったなぁ。

保護者の方が読んでも、お子様の方を理解する一助となり有用だと思います。

その一方で、経験豊富な支援者の方には当たり前のことが多く得られるものは少ないかもしれません。

 クリニックの本棚に置いておきますのでよかったらパラパラとめくってみてくださいね。