経鼻インフルエンザワクチンが登場します

 日本小児科学会より今シーズンより使用可能となった、経鼻のインフルエンザワクチンについて記事がでましたので、一般の方向けに簡単にまとめました。

https://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=607

(参考文献はリンクを参考にしてください)

 

 

 まずはまとめから、

【どんなワクチン?】

インフルエンザAおよびBに対する経鼻の生ワクチンで、日本では2 歳 〜 19 歳未満 (海外では2~49歳)に接種可能です。接種回数は1シーズンに1回です。

 

【効果はどうなの?】

 国内では経鼻vs💉は実施されていません。インフルエンザAはAH3/N2あるいはA/H1N1pdm2009ですが、2016/2017シーズンで、2~19歳未満において、A/H3N2 亜型株に対して、経鼻生ワクチンを接種した人の発症率は127/595人 (21.3%)に対して、プラセボは86/290人 (29.7%)で、接種した人は接種しなかった人と比べて28.2%低下しました。なお、A/H1N1pdm2009とB型については発症者数が少なかったためか、ワクチンとプラセボで有意な差はありませんでした。

 海外では、点鼻vs💉が実施されていて、2016/2017シーズンにおいて、A/H3N2 亜型株に対する有効性の明らかな違いはみられなかったと報告されています。なお、米国では、2013/2014年, 2014/2015年, 2015/2016年シーズンで、点鼻生ワクチンのA/H1N1pdm2009に対する有効率が低かったことから、一時的に接種の推奨を中止しました。しかし、その後の、解析で有効性が示されたからか、2018/19以降は推奨が再開されています。

 

【安全性はどうなの?】

・比較的多く(10%以上)みられる、副反応として、鼻閉・鼻漏(59.2% )、咳嗽、口腔咽頭があげられます。

・生ワクチンであり、周囲にワクチンウイルスを伝播させる可能性(接種を受けた小児は、鼻咽頭分泌物中にワクチンウイルスを最長 3~ 4 週間排出する可能性があります)があるため、授乳婦や周囲に免疫不全の方がいる場合は不活化💉が推奨されます。

・妊婦, 免疫不全者, 中枢神経系の解剖学的バリアー破綻がある者 (人工内耳埋め込み術を受けている),ゼラチンアレルギーのある方は接種🚫です。不活化💉を接種しましょう

・重度の喘息を有する者又は喘鳴の症状を呈する者 における接種には注意が必要です。

米国では、喘息または喘鳴の既往歴のある 2 ~4 歳児 への接種を推奨していません

 

他のワクチンとの接種間隔は?】

医師が必要と認めた場合には、他のワクチンと同時に接種することができ ます。

他の生ワクチンとの接種間隔を制限する記載はありません

(米国では他の生ワクチンの4週間以上あける。英国は間隔をあける必要なし)

 

【接種方法】

左右の 鼻腔内に 各 0.1mL を 1 噴霧 ずつ、合計 2 噴霧接種します。

 

【感想】

このワクチンにそこまで魅力は感じないです。理由は、不活化ワクチンと比べて効果が高いわけではないこと, 鼻症状と咳嗽が比較的高い頻度であること, くしゃみしたら接種し直しがきかないこと, 注射をこわがる児は点鼻でもこわがりそう、などがあげられます。もちろん、痛みが少ない, 1回だけの来院ですむ(不活化ワクチンは13未満は2回接種)というメリットもあります。値段は不活化ワクチン2回分より1,000円ほど高い設定になるかと思います。患者さんからもニーズは少しありそうなので、今年は10本だけ購入して様子を見ようかなとおもっています。