現在、RSウイルス感染症とともに、外来でみうけられる、ヒトメタニューモウイルス感染症についてです。外来で配布させていただいているプリントの内容を紹介します。
1.ヒトメタニューモウイルスとは?
・RSウイルスのきょうだいウイルスです。
・初感染は生後6ヶ月頃より始まり、2歳までに50%、5歳までに75%,
10歳までにすべてのこどもに感染します。
・高齢者にも気道感染症を引き起こします。
・通常は、2~6月に流行します。
2.ヒトメタニューモウイルスに感染後の症状と経過は?
・潜伏期は4~6日
・症状は、発熱 (5日ほど続く場合もある), 咳嗽, 鼻汁が中心。喘鳴をみとめる場合もあ ります。
・発症して4~7日目頃が症状のピークで、その後、徐々に落ち着いてきます。
(⇒発症して2日目ならこれから悪化、6日目ならそろそろピークを過ぎると考えます)
3.ヒトメタニューモウイルス感染症の治療
・ヒトメタニューモウイルスに対する特効薬はありません
・解熱剤や去痰薬など対症療法を行いながら、自然軽快を待ちます
・喘息児は、気管支拡張薬の吸入やステロイド内服が有効な事があります。
・症状のピークを過ぎて咳嗽が目立たなくなったら登園可能です。
以下の状況になったらすぐに再受診をしましょう
・ぐったりして、水分摂取ができなくなった時
・咳き込み嘔吐が目立つとき
・咳嗽により眠れなくなった時
・呼吸が苦しそうな時 (呼吸数が増え、下図のような呼吸)
もっとヒトメタニューモについて知りたい方は
【重要】家庭でもできる呼吸状態の評価の方法は↓
参考文献
1.橋本 浩一, 【ウイルス感染症と気管支喘息】RSウイルス、ヒトメタニューモウイルスと喘息, 臨床とウイルス. 2021.12;49:243-250.
2.菊田 英明, 【気候で変わる子どものウイルス感染症】春に流行するヒトメタニューモウイルス, チャイルド ヘルス. 2019.09;22:662-665.
3.鈴木 英太郎, 【子どもの感染症「すべきこと」「すべきでないこと」】抗原迅速診断はだれにする? RSウイルスとヒトメタニューモウイルス, チャイルド ヘルス. 2018.09;21:646-649.