1ヶ月健診の保護者3,852人を対象とした調査で、4人に3人は皮膚に関する心配事があると回答しております。
外来における皮膚の相談はアトピー性皮膚炎など湿疹の他におむつかぶれが多いです。
これまで、アトピー性皮膚炎は時間をかけて説明してきましたが、おむつかぶれについては深く語ってきませんでした。
今回は外来でほぼ毎日診察するおむつかぶれについて取り上げて見たいと思います。
1.おむつかぶれとは?
おむつそのもの、またがおむつの中の排泄物の刺激による皮膚炎です。原因は
おむつによる機械的刺激、尿, 便や汗の刺激, 密閉環境です。
2.発症機序は?
生体側の要因
・乳幼児の皮膚は成人と比べて刺激に弱い
・汗, 尿や便の存在によりおむつ内の温度や湿度が上昇し、皮膚が蒸れてふやけた
状態となる。
・活発に活動するためおむつと皮膚に物理的な摩擦を生じる
刺激物側の要因
・糞便中の細菌が産生するウレアーゼが尿中の尿素を分解してアンモニアを産生し、その化学的刺激により炎症を起こす。
・アンモニアは皮膚の環境をアルカリ性にシフトし、糞便中の蛋白あるいは脂肪分解酵素を活性化し、それが刺激となる。
3.症状は?
最初は、紅斑が出現し (赤くなり)、その後、小丘疹, 小水疱やびらん (皮膚ははがれる) を伴うことがある.
最初は症状はないが、重症化すると、排便時にしみたり、オムツ交換時に痛がって泣いたりする。さらに進行すると、痛みにより、常時不機嫌となり、睡眠障害・食欲不振に至る場合もある。
4.治療は?
・下痢をしている場合は便性の改善をめざす
・陰部の観察は頻回に行い、尿や便が陰部皮膚に接触する時間を最低限にする
・擦過刺激は増悪因子となる→陰部を拭くのではなく、洗うケアを中心にする。
私は子ども達には、霧吹にぬるいお湯をいれ、かけて流していました。
・軟膏はすべて塗り直さず、汚染部分のみ剥がして塗り直す
・炎症が強く、皮膚の赤みが強い場合はステロイド軟膏を使用するが短期間にとどめる
→長期間の使用はカンジダ感染のリスク
・ワセリンや亜鉛華単軟膏により皮膚は保護する。
・厚めに塗布する。
軟膏を塗っても良くならない場合は、お尻を拭くのではなく、洗うようにするとよいでしょう。それでほぼ解決しております。