糞便移植の話のインパクトが強かった

現在、日本小児科学会学術集会をオンデマンドで視聴しておりますが、腸内細菌叢の話が最も興味深かったです。

まずは、腸内細菌に関する一般的な話の説明がありました

(記憶に基づいているので間違いがあったらすみません)

腸内には細菌が約100兆個存在し、菌種ごとに叢 (ナワバリのようなもの)を形成

 している。

・腸内細菌叢は3歳までに決定される。

・在胎週数, 帝王切開や抗菌薬の使用は細菌叢の形成に影響する

・アレルギー疾患, 肥満, 炎症性腸疾患など種々の疾患に関与している可能性がある

プロバイオティクス (微生物) とプレバイオティクス (微生物の栄養となり、微生物の増殖を助けるもの)を摂取しても、100兆個の腸内細菌に対して○○万程度であり、どこまで効果があるかは不明 

糞便移植について:炎症性腸疾患 (潰瘍性大腸炎, Crohn病)の患者さんに、健康な人の便を、カプセルに入れて、内視鏡を用いて移植するという治療法。それにより、症状が軽減する。海外で行われており、日本でも治験中。糞便は親族のものを使うようです。これが最もインパクトが強かったです・・

その後、演者の先生の研究の話に続きました。

帝王切開児と経膣分娩児とで、出生時の腸内細菌叢に差があったが、母乳を少しでも摂取していれば、1ヶ月健診ときには差がなくなっていた

・腎疾患, 食物アレルギー, 川崎病など種々の疾患の腸内細菌叢は健康な子と比較して、 菌種の分布に違いが見られた。

・頻回に再発を繰り返すネフローゼ症候群の児は、酪酸産生菌が少ない傾向が見られ、酪酸菌である、ミヤBMを服用させると、服用させていない児と比較して、再発回数が減少した (すでに論文化されているようです)

・現時点では、糞便の細菌叢を見るのに、1検体あたり2万円のコストがかかり、定期的に検査するのは現実的でない。

・便ににおいから腸内細菌叢を分析する便器を開発中の企業もある

www.nikkei

大変興味深く、熱中して聴いてしまいました。

腸内細菌叢は面白いテーマなので、論文を読み、興味深い内容だったものは、紹介していきたいと思います。

 

その他、「子宮頸がんワクチン」「低身長」「頭部外傷」「食物アレルギーの発症予防」「小児の慢性咳嗽」について視聴しましたが、どれも大変勉強になりました。

明日で、視聴期間が終了するのが残念です。