はぐはぐ広場そらでの講演会&また駐車場問題が・・

昨日は、近隣公園の近くの、はぐはぐ広場そらで講演をしてきました。テーマは決めず、皆様からの事前質問にお答えするという新しいスタイルでチャレンジしました。

事前質問は、アレルギー, 感染症, 発達支援と多岐にわたりました。

参加者は10名ほどの小規模の講演でしたが、とてもたくさんの良い質問をいただくことができました✨魂を込めて、30枚のスライドを作ったかいがありました。内容の一部は後日ブログなどで紹介させていただきます。来年度のご依頼もいただきましたが、もちろんお受けします!

 

話しは変わりますが、駐車場問題が😭

下図の第10駐車場が9月下旬に取り壊しとなり、利用できなくなります。

 

新しい駐車場を探さないといけませんが、なかなか良い所がみつかりません。綾瀬市の方にとっては、踏切を越える時間をかんがえると、駅の反対側もありかもと思い、チェックしてみましたが、駐車場はほとんど埋まっており、難しいと感じました。そもそもニーズがあるかどうかも分からんし・・・

地図上では×をつけているTIMES(相鉄ライフの駐車場)がジュースを買うだけでも90分無料になるので、そちらをお勧めする形も考えております。

 

本当は自分の力を診療に集約したいのですが、色々とマネジメントすることが多すぎて頭が痛いです。「まだ行ける、まだ行ける」と念じながら頑張ります。

 

 

 

 

 

フッ素入り子ども用歯磨剤の誤食に注意!

日本小児科学会雑誌では、小児科医が共有したほうがよい事故情報が掲載されます。2022年7月号の学会誌からの報告を共有したいと思います。

以下、学会誌の内容を一般の方向けに簡潔にまとめました。

日本小児科学会こどもの生活環境改善委員会. Injury Alert (傷害速報) No.113

フッ素入り子ども用歯磨剤の誤食による急性フッ素中毒疑い, 日児誌126: 1098-1101, 2022

0113.pdf (jpeds.or.jp)

(発生状況と経過)

1歳5ヶ月の男児。洗面台(高さ約80 cm)におかれていた歯磨剤(フッ素濃度950 ppm/対象年齢記載は無し)を誤食。午前6時半頃に自宅で嘔吐が出現し,吐物の中に歯磨剤も少量あった.その後も嘔吐が2回あり,午前7時半ごろ(事故発生から約2時間後)に外来受診となった.入院し、点滴のうえ経過観察。翌日に軽快退院。歯磨剤の誤食量は,残量から考慮すると30 g程度と考えられた.

(解説)

・フッ素は①耐酸性・結晶性の向上,②抗菌・抗酵素作用,③再石灰化の促成の3点か らう蝕予防になる

一度に大量のフッ化物を摂取すると,急性毒性が発現する可能性がある

・推定中毒量はフッ素量として2~5 mg/kgで悪心,嘔吐,下痢などの消化器症状が出現し,5~10 mg/kgで不整脈などが起こる可能性があり,致死量は32~64 mg/kg

体重が10Kgの場合は20mgの摂取で消化器症状が出現しうる。

・摂取フッ化物量(mg)はフッ素濃度(%)×使用量(g)×10(フッ素濃度(%)=ppm×0.0001)で表される.本児の場合、950×30×10×0.0001=28.5mgと推定されるので、紹介症状の出現は起こりうる量であった。

・消化器症状は摂取したフッ化物と胃酸とが結合してフッ化水素が形成され胃粘膜を刺激することにより出現する.

いずれの歯磨剤も1本誤食したとしても致死量には至らないと推定される.

(誤食時の対応)

誤食直後にカルシウムを多く含む牛乳あるいはアイスクリームなどを経口投与する

 (カルシフッ化物とくっつき、吸収されるのを防いでくれる)

 

ACイラストよりダウンロード

 

 

お母様からの質問 「子どもは基礎疾患がなければ、新型コロナで重症化する心配はないでしょうか?」

新型コロナの感染者数の増加に伴い、小児では重症例なかでも死亡例が報告されてきておりますが、外来では、時々、「子どもは基礎疾患がなければ、新型コロナにかかっても大丈夫ですよね?」という質問をいただきます。  

答えは、頻度は低いかもしれませんが、基礎疾患のないお子様でも重症化する可能性があります。また、分類上は軽症であっても、脱水やけいれんで入院を要する場合もあります。お子様が5~11歳であれば新型コロナワクチンの接種をおすすめしております。

 

日本集中治療医学会の調査が8月30日に発表されました。

酸素の投与を受けたり人工呼吸器を装着したりして、中等症や重症として登録された患者は合わせて220人のうち、2/3は基礎疾患がありませんでした 

小学生以下のこどもが90%以上、急性脳症, 肺炎, けいれんが多かった

新型コロナ感染の子ども 中等症・重症の3分の2が基礎疾患なし | NHK | 新型コロナウイルス

 

2002年1月~8月30日までに全国で10歳未満の死者は17人、10代は9人が確認されております

 

また、軽症例にカウントされても入院を要する場合が少なくありません。今の重症度分類って、肺炎を想定して、酸素飽和度 (SpO2) をもとに分類しているんですね。000936655.pdf (mhlw.go.jp) (p.32参照)SpO2 96%≧なら軽症、93%<SpO2<96%なら中等症Ⅰという様に。したがって、熱性けいれんや脱水で入院を要した場合であっても、SpO2の低下がなければ「軽症」とカウントされてしまいます。当院からもこれまで3名、基礎疾患なく、重症度は軽症でしたが、入院を要しております。

 

お子様の発症による入院や重症化を回避するにはどうすればよいのでしょうか?現状では、ワクチンしかありません

新潟県での2022年7月の調査によると、入院した5~11歳児の約85%がワクチン未接種だったようです。

https://twitter.com/Niigata_u_ped/status/1565217685998571520

5~11歳児のワクチンはデータが蓄積し、安全性の高いこと, 感染後の重症化予防効果の高いことは明らかにされております。

これから第8波や冬のインフルエンザ+新型コロナの同時流行が始まる前に、ワクチンの

接種をご検討ください。

 

 

産後の母親のうつは少なくない~当院では新生児の育児相談も対応しております

今日は、生後2週間の健診時に母親のうつ状態について検討した論文を紹介します。

 

論文は、

筆頭著者:岩丸 良子

タイトル:2週間健診時に評価した母親の産後うつ傾向リスク因子

雑誌:日児誌 126: 1011-1017, 2022

 

ACイラストよりダウンロード

 

【対象と方法】

2週間健診を受けた2993人のうち、育児不安が強いと考えられた741名 (24.7%)を対象にエジンバラ産後うつ質問票という産後うつを評価する検査を実施した。スコアが9点以上の352人と8点未満の384人で背景を比較した。

全体の11.8%, 育児不安の強い母親の約半数うつ状態ということですね

 

【結果】

・児の在胎週数、出生体重、性別、NICU入院、出産方法(経膣,帝王切開), 母体国籍

 とうつ傾向に関連は見られなかった

分娩回数が多いほどうつ傾向となる割合は減少した。

 →育児経験が多いほどうつになりにくいということですね

 

・対象母体736例中うつ傾向となったのは養育支援連絡票提出歴なし群250/427例(58.5%),あり群102/309例(33.0%)で、統計学的な有意差を認めた。

→地域でのサポートも重要ですね

養育支援連絡票とは

妊産婦とその家族および出産後の育児支援者について,育児困難が予想される問題点について記載したものを地域保健機関に提出する.情報提供の際は対象者又は家族に対して情報提供の概要を説明すると共に,住居地の市町村の支援を受けることが身体的・精神的負担を軽減し,養育の支援となりうることを説明し,同意を得ている

【著者らの結論】

分娩後新たにうつ傾向となる母体が多くいることが示唆されており,2週間健診の対象を絞ることは難しい.全出生を対象とした2週間健診の実施をするべきである

 

【コメント】

出産して間もないころは特にお母様の精神的不安って大きいですよね。当院では産科退院後の育児支援を6月下旬より始めており、今のところ4名の方に対応してきました。

体重のことや授乳方法など気軽にご相談ください。

 

teammanabe.hatenablog.com

 

teammanabe.hatenablog.com

 

 

 

 

 

 

 

 

ピックアップコロナニュース もう少し慎重にいこうよ【2022/9/5~9/11】

ピックアップコロナニュースは今回で3回目。毎週月曜日の記事として定着しそうです。先週も療養期間短縮など大きな動きがありましたね。小児関連や皆様の生活に直結しそうな記事をチョイスしております。皆様が情報を整理する一助となれば幸いです。

 

1.官房副長官が入国者数上限撤廃に意欲 (9/11) 

入国者数の上限撤廃に意欲 官房副長官「しかるべきタイミングで」 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

 

(コメント)せめて、冬のインフルエンザと新型コロナの同時流行を乗り切ってからにして欲しいな

 

2.今年に入り自治医科大だけで急性脳症の小児例が13例 (9/10)

 いずれも基礎疾患はなし 

新型コロナ感染の子ども 急性脳症で搬送増加「すぐ連絡を!」|NHK 栃木県のニュース

 

3.コロナ全数把握見直し、先行自治体で変化 簡略化で見えた課題も (9/9)

医療機関では届け出対象外の方からの問い合わせが増えかえって負担に。自治体の職員は負担減少。

コロナ全数把握見直し、先行自治体で変化 簡略化で見えた課題も(毎日新聞) - Yahoo!ニュース

 

4.コロナの保険支払い対象者縮小、26日から 全数把握見直しに合わせ (9/8)  

全数把握の簡略化後も入院給付金の対象となるのは、入院か投薬治療を受けた人、65歳以上の高齢者、妊婦のいずれかに該当する感染者となる。

コロナの保険支払い対象者縮小、26日から 全数把握見直しに合わせ [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル (asahi.com)

 

5.全数把握見直し後の神奈川。国の方が発生届を出す人を絞るためスコア制度は終了へ。また、自主療養制度が「陽性者登録窓口」に変わる。(9/7) 

<新型コロナ>全数把握見直し後に廃止 重点観察対象者 入院優先度判断 県対策協議会で意向示す:東京新聞 TOKYO Web (tokyo-np.co.jp)

 

(コメント)またルール変更か😞 内容が確定したら詳しく解説しますね

 

6.新型コロナ 全国のクラスターは減少 学校などでは増加 (9/8)  

新型コロナ 全国のクラスターは減少 学校などでは増加 | NHK | 新型コロナ 国内感染者数

 

(コメント)当院では学校再開後、まだ小学生が少ないですが、これからの動向には注意が必要です。

 

7.療養期間が10日→7日に短縮 (9/7)  

新型コロナ「高い感染レベル続くも着実に減少」専門家会合 | NHK | 新型コロナ 国内感染者数

関連ブログ

 

teammanabe.hatenablog.com

 

8.無症状者は療養期間の初日から、症状がある人は薬なしで解熱し、症状が改善する「軽快」から24時間経過後、外出が可能に。ただし買い物など必要最小限に (9/7)

無症状者はマスクで短時間の外出可、解熱24時間後も同様…コロナ自宅療養中の制限緩和(読売新聞オンライン) - Yahoo!ニュース

 

9.新型コロナワクチン、米では年1回の接種推奨の流れに=保健当局者

新型コロナワクチン、米では年1回の接種推奨の流れに=保健当局者 | ロイター (reuters.com)

(コメント) インフルエンザと同様の位置づけに近づいていますね。

 

10.コロナ・インフルのワクチン同時接種容認 厚労省、安全性問題なし (9/6)

<独自>コロナ・インフルのワクチン同時接種容認 厚労省、安全性問題なし - 産経ニュース (sankei.com)

 

(コメント)当院では同時接種は行いません。インフルエンザだけでも院内が密になりうるからです。ごめんなさい。

 



 

乳児期の湿疹の早期治療により食物アレルギーの発症を予防できる

当院では、乳児期の湿疹に対して、アトピー性皮膚炎と判断し、早期にステロイド軟膏を中心とした治療を積極的に行っております。その根拠となる論文を2回に分けて紹介していきたいと思います。

 最初は、国内の報告から。

タイトル:食物アレルギー発症予防を目的とした乳児期早期の湿疹に対するプロアクティブ療法の効果:後方視的ケースコントロールスタディ 

筆頭著者:山崎晃嗣

雑誌:近畿大医誌, 41, 9-16, 2016

 

まずは結論から「乳児期早期からの湿疹治療により食物アレルギーの発症と複数の食物アレルギーの予防効果が認められた

 

詳しく知りたい方は以下もお読みになってください😃

 

研究の概要は、

【対象】

近畿大学医学部小児, 市立貝塚病院小児科を湿疹を主訴に受診した

生後0~11ヶ月時

【湿疹に対するアプローチ】

湿疹に対しては、ステロイド軟膏を積極的に使用し、皮膚炎の状態を改善させた

調べたことは?

生後4ヶ月以下で受診した早期群66名生後5ヶ月以上で受診した晩期群62名

の間で、1歳半までの食物アレルギーの発症頻度を比較した。

【結果】

1)食物アレルギーの発症

早期群 (生後4ヶ月以下で受診)9/66人 (13.6%)の発症に対し、後期群 (生後5ヶ月以降に受診)では、19/62人 (30.9%)の発症率でした。

2) 食物アレルギーを発症した児のアレルゲンの数は、早期群の児は、9名全例が1種類のみであったが、晩期群では5/19名 (26%)が複数のアレルゲンに対して発症していた。

 

論文より引用し、微調整



【結論】

乳児期早期からの湿疹治療により食物アレルギーの発症と複数の食物アレルギーの予防効果が認められた

 

【コメント】

乳児の湿疹への早期からのステロイド軟膏を用いた積極的な介入については、一部の皮膚科の先生&小児科の先生 vs  小児アレルギー専門医 (私はこちら側)で議論になることがありました(今も?)

当院では、生後2ヶ月の予防接種時より、湿疹を認めるお子様に対して介入させていただいております。最近は、食物アレルギーを発症した子を以前より見なくなったような

 

5~11歳への新型コロナワクチンの効果【シンガポール】

今日は、7月下旬にシンガポールより報告された、5~11歳への新型コロナワクチンの効果についてポイントを抜粋して紹介&解説していきたいと思います。

 

発症予防効果だけでなく重症化予防効果まで検討した点がすぐれている報告です。

 

読んだ論文は下記です

pubmed.ncbi.nlm.nih.gov

 

【研究期間】2022年1月21日~2022年4月8日

【対象】5~11歳児 255,936人 

未接種52,043人, 1回接種(1回接種翌日~2回接種6日以内)30.656人 , 2回接種(2回接種7日以降)173,237人 でその後の新型コロナ発症数と入院数を比較。新型コロナはPCRあるいは抗原検査で診断。入院例は全身状態の悪い児で重症肺炎やMIS-Cに限定していない

 

※MIS-Cとは

teammanabe.hatenablog.c

【結果】

1) 発症予防効果

1回接種は13.6%, 2回接種は36.8% 

文献より抜粋し改変

2) 重症化予防効果

入院予防効果は1回接種で42.3%, 2回接種で82.7%

文献より抜粋し改変

【コメント】

短期間における、重症化予防効果が示された貴重な研究ですね。日本でも発症者数の増加に伴い小児の入院例は増加しています。5~11歳への接種を推奨する根拠となります。

それにしても、シンガポールのこの年齢層の接種率は高い。さすがですね。