産後の母親のうつは少なくない~当院では新生児の育児相談も対応しております

今日は、生後2週間の健診時に母親のうつ状態について検討した論文を紹介します。

 

論文は、

筆頭著者:岩丸 良子

タイトル:2週間健診時に評価した母親の産後うつ傾向リスク因子

雑誌:日児誌 126: 1011-1017, 2022

 

ACイラストよりダウンロード

 

【対象と方法】

2週間健診を受けた2993人のうち、育児不安が強いと考えられた741名 (24.7%)を対象にエジンバラ産後うつ質問票という産後うつを評価する検査を実施した。スコアが9点以上の352人と8点未満の384人で背景を比較した。

全体の11.8%, 育児不安の強い母親の約半数うつ状態ということですね

 

【結果】

・児の在胎週数、出生体重、性別、NICU入院、出産方法(経膣,帝王切開), 母体国籍

 とうつ傾向に関連は見られなかった

分娩回数が多いほどうつ傾向となる割合は減少した。

 →育児経験が多いほどうつになりにくいということですね

 

・対象母体736例中うつ傾向となったのは養育支援連絡票提出歴なし群250/427例(58.5%),あり群102/309例(33.0%)で、統計学的な有意差を認めた。

→地域でのサポートも重要ですね

養育支援連絡票とは

妊産婦とその家族および出産後の育児支援者について,育児困難が予想される問題点について記載したものを地域保健機関に提出する.情報提供の際は対象者又は家族に対して情報提供の概要を説明すると共に,住居地の市町村の支援を受けることが身体的・精神的負担を軽減し,養育の支援となりうることを説明し,同意を得ている

【著者らの結論】

分娩後新たにうつ傾向となる母体が多くいることが示唆されており,2週間健診の対象を絞ることは難しい.全出生を対象とした2週間健診の実施をするべきである

 

【コメント】

出産して間もないころは特にお母様の精神的不安って大きいですよね。当院では産科退院後の育児支援を6月下旬より始めており、今のところ4名の方に対応してきました。

体重のことや授乳方法など気軽にご相談ください。

 

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