感染症情報の新しい項目~急性呼吸器感染症 (ARI)

 今週から感染症情報に新たな項目が加わります。

 

 急性呼吸器感染症 (ARI)という項目が2025年4月より5類感染症となり定点報告対象となります。

 当院は、定点報告をする医療機関で週1回、土曜日の午前外来終了後にWebで報告をしています。また、その結果を、SNSで共有させていただいております。

当院の感染症情報:https://www.manabe-shounika.jp/category/infection

さて、ARIとはどのようなものでしょうか?

「咳嗽, 咽頭通, 呼吸困難, 鼻汁, 鼻閉のいずれか1つの症状を呈し、発症から10日以内の急性の症状であり、かつ医師が感染症を疑う外来症例」と定義されています。

インフルやコロナなど特定の病名ではなく、“症状”として報告するものになります。

定義がかなりざっくりしていますよね。医師によって判断が異なってくるかもしれません。私自身も、迅速検査を考えた例と基準を勝手に決めてしまいました💦

 

さて、ARIをカウントしていく、背景・目的について私の理解している範囲でお話させていただければと思います。

 

1.新型コロナやインフルエンザなどの感染動向を把握するため

 現在、週毎の診断例をwebで報告していますが、特に新型コロナは実際の感染状況を反映することはできません。理由は、無症状の人, 軽症の人は受診しないからです。また、受診しても様々な理由で検査を拒否する方もいます。

 海外では検査陽性率 (検査で陽性/検査件数) を重視しています。それが、流行状況と関連する入院患者数と相関しているからです(流行するほど入院患者数が増えますよね)

 診断した数ではなく、分母の設定が大事ということですね。そこで、検査が陽性であった人(確定診断例)の母集団として、ARIが設定されました。

 

 

2.未知の呼吸器感染症が発生し、増加し始めた場合に、迅速に探知可能となる

もし、ARIの数が増加しているのに、インフルエンザや新型コロナなど既知の病原体の割合が少ない場合に、未知の呼吸器感染症の発生を疑います

海外でも実施され、WHOでも推奨されています。

「これはおかしい」と思われる症例は、医療機関から県の衛生研究所に検査を依頼できるようです

※2025年4月7日時点では、詳細な手続きや運用方法についての通知はまだ届いていません…)

 

3.医療機関の負荷の指標にもなる

あたりまえかもしれませんが、ARIの数や推移をみることで、医療機関がどれぐらい逼迫しているかが分かります。

 

まだ手探り状態なので、情報が入り次第更新していければと思います。
また、せっかくなので、色々な形で感染症のdataを示していきたいですね

引き続きよろしくお願いいたします。