今日は現在、少し流行しているマイコプラズマ感染症について解説します。

🦠マイコプラズマとは
自己増殖が可能な最小の微生物で、生物学的には細菌に分類されます。菌体先端の細胞付着器官の密集するP1タンパクを介して気管線毛上皮への接着により感染が成立します。マイコプラズマ菌が産生する毒素によるダメージ(直接的)と毒素に対する免疫反応(間接的)により症状が誘発されます。

🦠感染経路
感染した人の咳やくしゃみなどに含まれる病原体によって、人から人へ感染します(飛沫感染)マスクの着用や手洗いが大切です。手についた病原体を口に入れることによっても感染する接触感染もおこりえます。
濃厚接触が必要と考えられており、地域での感染拡大の速度は遅いです。学校などでの短時間での暴露による感染拡大の可能性は高くなく、友人間での濃厚接触によるものが重要とされています。
・菌が侵入してから発症までの潜伏期間は2~3週間(菌の増殖速度が遅いため)
・感染例の5~10%に肺炎の所見がみられます
・5~12歳に好発し、明らかな男女差はありません。
(現在、神奈川県では5~9歳の報告が多いです)
・初発症状は発熱、全身倦怠、頭痛などです。発熱は5日間ほど続き、その途中で次第に乾性咳嗽 (痰の絡まない乾いた咳)が悪化してきます。咳嗽は、解熱後も長く続きます(3~4週間)。
・幼児は湿性咳嗽(痰のからむ湿った咳)のことがしばしばあります。
・皮疹も比較的多くみとめられます (6~17%)
・まれですが、関節炎, 脳炎や心筋炎など呼吸器症状以外の合併症をみとめることがあります、私は過去に、視神経炎を呈した症例を報告したことがあります。
(真部哲治, 肺炎マイコプラズマ感染に伴った視神経炎の 1 例, 小児感染免疫, 25, 35-39, 2013)
🦠診断方法は?
・当院では抗原検査を使用しています(15分で判定)
問題点は感度(マイコプラズマに感染している人が陽性になる確率)が約70%と低 いことです。理由はマイコプラズマは咽頭に定着せず下気道に落ちていくからと考えられます。検査するなら、症状出現4日目以降が感度が高いようです。
(原三千丸, 2種類のイムノクロマト法キットによる小児のマイコプラズマ感染症の迅速診断,児科臨床 71:1371,2018)
・PCR法やLAMP法は感度が高いですが外注検査で日数を要するのが欠点です。
・血液検査では、WBCが正常範囲, CRPが軽度上昇という特徴があります。
🦠治療は
感性株であれば投与開始48時間以内に80%が解熱する
・マクロライド耐性株が2000年に初めて報告され、2009年に59.1%, 2011年に89.5%
となった。しかし、現在は大部分がマクロライド感性株となっています。
・マクロライド系抗菌薬が無効であれば、ニューキノロン系抗菌薬 (オゼックスR)や
8歳以上であればテトラサイクリン系抗菌薬 (ミノマイシンR) を考慮する。
・過剰な免疫反応により症状が遷延する場合は、ステロイド投与を要する場合があります(血液検査でAST, LDHやフェリチンが上昇)
・学校や園の欠席期間は明確に定められておらず、解熱し、咳嗽が目立たなくなってからが目安