【論文紹介】タミフルの効果と安全性について

 久しぶりの医学に関連したブログ記事です。診療と発達支援事業所の立ち上げで余裕がなくなっておりました。

 今回は、タミフルの効果と安全性についての論文を紹介します。システマティックレビューという、エビデンスレベルが高いとされている種類の論文です。小児のインフルエンザ発症例を対象に、タミフルを投与した群と投与していない群でその後の経過を比較した論文にうち、条件を満たす文献をあつめて解析されております。

 

論文は、Efficacy and Safety of Oseltamivir in Children: Systematic Review and Individual Patient Data Meta-analysis of Randomized Controlled Trials - PubMed (nih.gov)

です。

 

主要な評価項目は、発症してからインフルエンザ症状が改善するまでの時間です。

イメージとしては、解熱ではなく、咳嗽や鼻汁なども軽度になり、日常生活に支障がなくなるまでの期間です。

結果は、タミフル投与群の方が、17.6時間早く改善しました。さらに、気管支喘息のない症例に限定すると、タミフル投与群の方が29.9時間早く改善しておりました。

 

タミフルの投与時期による効果も検証されていました。発症から24時間以内の投与は、

発症から24~48時間以内の投与よりも有効でした。

 

合併症については、下気道感染症 (気管支炎, 肺炎) の合併はタミフル投与群とプラセボ群で差はありませんでした。しかし、タミフルの投与により中耳炎のリスクが34%減少しました。

 

安全性については、嘔吐のみタミフルの方がプラセボより1.6倍高いという結果でした。

その他、下痢, 嘔気, 重篤な副作用は差がありませんでした。

 

 

📖まとめ

タミフルを服用することにより、症状の改善を約18時間早める

タミフル中耳炎のリスクを34%減少させる

タミフルは副作用として嘔吐に注意

・発症から24時間以内はより効果が期待できる

 (しかし、発症から12時間以内は抗原検査の感度が低い)

 

以上、簡単ではありますが共有させていただきました。

しばらくは、負担のない形で、適宜発信させていただければと思います。