【学会メモ】マイコプラズマ, クラミジア, 百日咳

学会メモでは、各種学会のオンデマンド配信でとても有用だった内容を紹介しております。今回は、日本小児感染症学会より。マイコプラズマ, クラミジア, 百日咳について講演がとても面白かったので、演者の先生の迷惑にならなさそうな範囲で共有させていただきます。

まずは、マイコプラズマから。マイコプラズママクロライドの抗菌薬 (クラリスR, ジスロマックRなど) が第1選択薬となっています。これに対する耐性菌 (マクロライド耐性マイコプラズマ) が問題になっていて、2013年は耐性率が80%ほどにもなりました。しかし、現在は耐性率は10~30%に低下しております。理由としては、1) 2010年にニューキノロン系の抗菌薬 (オゼックスR) が小児に使用できるようになり、使用する抗菌薬が分散したから 2) 細胞に接着するP遺伝子が変化したから、と演者の先生は考察していました (同じ抗菌薬ばかり使用していたら耐性菌が増加するということ)。根拠として、もともとマクロライド系の他に、テトラサイクリン系やニューキノロン系の抗菌薬を使用できた成人では、マクロライド耐性率が低かったことを挙げていました。なお、小児にニューキノロンを使用していない中国ではいまだにマクロライ耐性率が高いようです。演者の先生は 細胞に接着するP遺伝子の変化も抗菌薬の選択肢が増えたからではないかとおっしゃっていました。

クラミジア肺炎はだいぶ減少しているようです。マクロライド系抗菌薬で治療しますが

今のところ耐性化はみられていないようです。

百日咳は、全数の報告義務があり、動向を把握しやすいのですが、新型コロナ感染症

が出現してからは、大幅に減少しております。百日咳もマクロライド系抗菌薬で治療するのですが、なんと中国ではマクロライド耐性菌の百日咳が大部分を占めるようです。

百日咳ってマクロライド系以外の抗菌薬の効果はあまり検証されておらず、少し心配ですね。マクロライド耐性百日咳菌は国内では症例報告程度ですが今後の動向に注意が必要です。