【再投稿】児童発達支援外来の問題点 【講演会の内容より】

再投稿記事ですが、前回からの変更点は下線で示しております。

 

小児科開業医が児童発達支援外来を行うにあたり大きな問題点が3つあります。

1.診療報酬が低すぎる

2.トレーニングや自信の不足

3.診療時間の確保

です。

 

発達支援に興味のある小児科の先生方を対象に、少しでも発達支援に関わってくれる方が増えるといいな~と思い講演を企画したのですが、正直に話し過ぎてしまいました😅

 

1.診療報酬が低すぎる

これはこれまでにもブログに記載してきましたが、初診は60分, 再診は30分かけて診療しているのですが、発熱したお子様1人を見る方が診療報酬が高いのです。つまり、発達支援の対応をすればするほど赤字になるのです。しかも、もともと低い診療報酬は初診から2年を超えるとさらに大幅に引き下げられます

ブログやtwitterで、「全ての人がいきいきと生活でき、重度の障害を持つ子が生まれても保護者が自分達の死後を心配しない、そんな社会の土台を生きている間に作る」のが目標と記載しているのは口だけ?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、私だけでなく当院のスタッフの生活もかかっているし、当院が倒産したら、発達支援, アレルギーその他慢性疾患で通院しているお子様も困ってしまいます。また、ある程度の収益が得られないと、臨床心理士言語聴覚士を新たに雇用するなど診療の幅を広げることが難しくなります (臨床心理士への評価も低すぎます。知能検査の診療点数は時間を要する割に、とても低く、検査セット代の購入費をひくと、ほとんどプラスにはならないと思います)。

しかし、かかりつけの患者さんの困り事に対応できるというメリットもあります。講演会では、1月末に当院で実施した患者さんの満足度調査でいただいた、下記のコメントを紹介しました。

講演会スライドより。個人が特定されぬよう情報は部分的に変えております。

 

2.トレーニングや自信の不足

こんなことを言ってはいけないのかもしれませんが、私も自信があるわけではありません。アレルギーのように専門医療機関で勤務していたわけではないからです。大部分は独学と患者さんより学ばせていただきました。患者さんからの質問に悩んだ時は、保護者の会, 療育関連の方, 専門機関で修行し現在は政令指定都市の病院で大活躍しているE先生,小児科から精神科に転向し九州の専門機関で勤務している大学の後輩の F先生,など色々な方に相談させていただいております。E先生、いつもたくさんの質問ごめんね~🙏また、児童精神系の学会だけでなく、こども発達支援研究や大阪医科薬科大学の講演会にも積極的に参加し、引き出しを増やす努力をしております。

 

3.診療時間の確保

1人あたりに時間を要するため診療時間の確保が難しくなっております。

諸事情により、昨年の10月より発達支援外来を縮小し、週1回、水曜日のみ対応させていただくことにしました。また、1人あたりの診療時間を30→20分に短縮し、診療に集中するために、保護者の方より、お子様の状況や質問したいことを事前にメールでいただくことにしました。この取り組みはすでに始めておりますが、以前より診療時間内に大事な話に時間を取れるようになりましたし、保護者の方も事前に考えをまとめることができ、お互いにとってよい試みであったのではないかと思っております。

 

困難だらけですが、診療を継続しつつ、より多くのお子様に対応するための方略を引き続き検討していきたいと思います。その1つが発達支援事業所の立ち上げです。

 

事業所の立ち上げは、

1) 事業所と当院で連携し、より良い支援をする

    現在は2ヶ月に1回の外来のみ

 →立ち上げ後は、2ヶ月に1回の外来+週1の事業所での療育+情報の共有

2) 事業所中心のフォローとなる患者さんが増えてくれば、クリニックで新規の

 患者さんの対応が可能となる

3) 事業所が勤務日でない時は、専門職の方にクリニックで発達支援のお手伝いを

 していただく→クリニックでの支援レベルの向上

 (事業所とは別に心理士の雇用も検討中です)

など考えております。