【新型コロナ】頻度は少ないが小児にも中等症・重症例は存在する

当院では、現時点で、150名ほどの新型コロナウイルス感染症のお子様を診療してきましたが、幸い、全員「軽症」でした。

先日、スタッフが日々、大変な入力をしてくださっている、HER-SYSのデータを国立感染症研究所のHPより確認しました。全国では、小児は、頻度は少ないものの、中等症・重症例が存在することが分かりましたので、共有させていただきます。

(私の認識している範囲では10歳未満の死亡例はなし)

 

(1) 小児の感染者数の動向 (2/14~2/20の週) 

小児の傾向としては、0~4 歳、5~9 歳、10~14 歳(0~14 歳は、報告された全症例の24.8%)の人口 10 万対新規症例報告数はそれぞれ542, 971, 737で、5~9 歳が人口当たり最多の年齢群でした。

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https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/PDF/COVID-19_2022w7.pdfより改変し引用

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https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/PDF/COVID-19_2022w7.pdfより改変し引用

(2) 入院中の中等症例・重症例

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https://www.niid.go.jp/niid/images/epi/PDF/COVID-19_2022w7.pdfより引用

 横軸は疫学週数、例えば、第3週は1/17~1/23, 5週は1/31~2/6, 7週は2/14~2/20の期間を示しています。青い線グラフは中等症、オレンジの棒グラフは重症者数を示しています。これは、この期間における中等症・重症の数字を示しており、分母が分からないため、ここからは、○○%のお子様が感染すると、入院や重症化するリスクがありますよ、とは言えません。しかし、感染者数の増加に伴い、一定の人数、中等症以上の症例が存在することが読み取れます。例えば、第5週だと、重症例は0~4歳18人+5~9歳28人+10~14歳26人の合計72人国内で存在したことになります。中等症は合計でだいたい100人ぐらいでしょうか。すごく乱暴な計算ですが、1~5週までの0~14歳の報告数の合計は約30万人でこれを172で割ると約1744人に1人が中等症以上となります。グラフは当該週の時点での数字を表していないので、累積数で考えると、感染後に中等症以上のリスクとなるのはもっと高いのかなと思います。その一方で、すぐに解熱した例や発熱のない例は診断されていない可能性もあり、中等症以上の頻度はもっと少なくなる可能性があります。いずれにせよ、小児は軽症が大部分といっても、入院を要する例も一定数いるよということが大事と思います。

当院はたかだか150例しか対応していないので、全て軽症なのは妥当な数字で、これだけでは、新型コロナは子どもにとってはしょぼい感染症だよとは言えないですね。