今日は、現在、話題になっている小児における原因不明の急性肝炎についてです。
2022年4月以降、世界でWHO (世界保健機構)の症例定義に合致する、小児における原因が明らかではない重症急性肝炎症例が、2022年4月21時点で計12カ国(欧州11カ国、米州1カ国)169例報告されています (英国が最多で114例)
最近、日本でも?とニュースになりましたね。
原因不明の子どもの急性肝炎、日本で発生か(共同通信) - Yahoo!ニュース
英国からの81例 (基準:10歳以下, A-E型肝炎が否定, 肝逸脱酵素の報告AST, ALTが500IU/L以上)の報告によると、
Hepatitis technical briefing 1 (publishing.service.gov.uk)
年齢中央値は3.5歳で、3~5歳が53例 (65.4%)を占めました。明らかな男女差はなさそうです。81例のうち死亡例はありませんが、7例 (8.6%)が肝移植を要しております。
症状としては、
現時点で有力な原因は、
アデノウイルスのようです。検査した53例のうち40例 (75.4%) が陽性でした。
血液検体より型を特定できた11例は全例、41F型というタイプでした。
英国では、2021年末より特に1~4歳のアデノウイルスの市中感染例が増加しております
しかし、アデノウイルスを犯人と決めつけるのは、まだ早いのです!!
理由としては、
1.アデノウイルス41型は一般的に胃腸炎を起こすことが知られていますが、健康小児における急性肝炎の原因ウイルスとしては認識されていません。
2.アデノウイルス検出例の増加は、アデノウイルスの検査が強化されたことによる影響の可能性があり、真の増加かどうかは分かりません。(これまで原因不明だったものが確定されるようになった結果かもしれません)
現在、化学物質や他の病原体を含めた原因探索が行われている、ところです。
できることとしては、まだ不明確な点が多いので必要以上に恐れないことと、アデノウイルスを原因の一つとして想定した、基本的な感染対策を継続することかなと思います。なお、アデノウイルスはアルコール消毒は効果が弱いことにも留意しておきましょう。
また、有用な情報が入りましたら共有させていただきたいと思います。