スギ花粉舌下免疫療法の上乗せによる吸入ステロイド薬の減量効果

スギ花粉飛散期が近づいてきていますね。

今日は、成人の報告ですが、スギ花粉症を合併している喘息患者さんに、スギ花粉症の舌下免疫療法を3年間実施したら、吸入ステロイド薬を減量できたという論文を紹介させていただきます。

 

論文:スギ花粉症合併喘息に対する舌下免疫療法の臨床的効果 舌下免疫療法上乗せによる吸入ステロイド薬の減量は可能か?

筆頭著者:森田 恭平 (大阪赤十字病院呼吸器内科)

雑誌:アレルギー. 2021.09;70(8):955-964

 

📕どんな研究?

スギ花粉症を合併する成人喘息患者さんを対象に、

スギ花粉症の舌下免疫療法を導入例 (SLIT上乗せ群) vs 非導入例 (標準治療群) 

で3年間の経過を、カルテより後方視的に比較

ざっくりと、研究に参加した方のイメージは、約50歳で, 女性が70%, 呼吸機能ならびに喘息の症状コントロールは良好で、吸入ステロイド薬の平均使用量は約550μg/日

 

📕主要な結果

(1)  吸入ステロイド薬の使用量

SLIT上乗せ群は3年目で吸入ステロイド薬の使用量が有意に減少した (標準治療群は有意な減少はなし)

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文献より改変して引用

(2)SLIT上乗せ群は、36例中12例が吸入ステロイド薬を中止できた中止出来た例は出来なかった例と比較し、若年、呼吸機能が良好、弱い治療であった。

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文献を改変し引用(主要部分のみ抜粋)

📕結論

3年間のスギ花粉症の舌下免疫療法の上乗せにより、吸入ステロイド薬使用量の減少を認めた。

 

🎤感想

当院でも、お母さんも一緒に舌下免疫をしている方で、吸入ステロイド薬を中止できた方が実際にいらっしゃいました。これは成人の報告ですが、喘息のお子様にも積極的にすすめる価値があると思いました。