ここ最近、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の勢いがすごく、かなり身近なものとなっております。外来でも、お母様より、「子どもが感染したらどんな症状が出るのですか?」という質問をいただきます。
現在、流行の主体となっているオミクロン株のデータではありませんが、東京都立小児総合医療センターより、2020年1~12月に受診した児の経過のまとめが報告されているので、共有させていただきます。
タイトル:小児専門医療施設で2020年に経験したコロナウイルス感染症2019の臨床像
筆頭著者:宇田 和宏 (東京都立小児総合医療センター感染症科)
雑誌:日本小児科学会雑誌 2021, 125:1426~1433
📕どんな研究?
2020年1月1日~2020年12月25日の期間に新型コロナウイルス感染症2019 (COVID-2019) と診断された46例を対象に、感染後の経過を調査
📕結果
(1) 患者背景
年齢中央値 (25%~75%)は、6 (4~10)歳で、男児が20例 (43%)
※中央値は真ん中の人の数, 25~75%は下1/4~上1/4
例. 1,3,5,7,9,30,50 の場合、平均値だと15, 中央値だと7になる。
平均値だと極端に数値の大きな人がいるとその影響を受けてしまう
(2) 感染経路
新型コロナウイルス感染症2019 (COVID-19) 患者との接触歴は89%であった。そのうち、成人からの感染が35例 (85%)で、小児同士の感染は6例 (15%)であった。感染経路は、家族が24例 (52%), 幼稚園・保育園が6例 (13%), 学校が3例 (7%), 習い事2例 (4%) であった。
(3) 症状について
46例のうち無症候性は16例 (35%), 症候性は30例 (65%) であった。
症状のあった30例の重症度は全例で軽症であった。
症状は、発熱 (73%), 鼻汁 (53%), 咳嗽 (30%) の順に多かった。
37.5度以上の発熱期間の中央値は1日で、4日以上発熱が続いた症例はいなかった。
味覚障害は3例 (10%) にみとめた (4歳, 12歳, 15歳, いずれも女児)
脱毛は1例 (1歳男児)にみとめた。発症6日目にみとめ、22日には目立たなくなった。
(4) ウイルス量
症候性と無症候性で鼻咽腔と便のウイルス量に有意な差はなかった。
🎤感想
症状のみから、新型コロナウイルス感染症とその他の風邪を区別するのは難しい。
家族歴や行動歴など詳細な問診が最も重要と考えられる。