今日は、新型コロナウイルス感染症が急患センターの小科診療に与えた影響について検討した報告を紹介します。
タイトル:コロナウイルス感染症2019流行に伴う急患センターにおける
小児診療状況の変化
雑誌:日本小児科学会雑誌 2021, 125; 1471~74.
📕どんな研究?
・兵庫県下3地域の急患センターを対象 (座間市の急患センターに相当)
・15歳以下の受診患者について、非コロナウイルス感染症2019 (以下COVID-19)
期 (2019/3/1~2019/5/31) とCOVID-19期 (2020/3/1~2020/5/31 ) を比較
📕 結果
(1) 受診者数
非COVID19期の18,464人に対し、COVID期は4,874人であり、受診者数は73.6%減少
(2) 受診した疾患の内訳
疾患群毎の受診者数と全体における割合が示されています。当然ですが、COVID-19期は全ての疾患で減少していますね。各疾患の全体における割合の変化をオッズ比で見ております。オッズ比という聞き慣れない言葉が出てきたかと思いますが、これは、(○.○○~○.○○)が1をまたがなければ有意な差があり、数字が大きいほどこの疾患群の割合が増えた、数字が小さいほど減ったんだな~ぐらいで理解していただければ十分です。当たり前かもしれませんが、胃腸炎や気管支炎の全体に占める割合がしっかり減少しています。感冒が引き金になる喘息も一緒に減少していますね。感染対策が影響しない、蕁麻疹, 便秘や異物誤飲の全体に占める割合は増えています。
(3) 救急搬送での受診数
救急搬送で急患センターを受診した割合は、非COVID-19期が0.9%に対し、COVID-19期は1.6%と増加しています。急患センターを受診した患者さんの中で、重症度がある程度高い子はその日の当番病院へ紹介するのですがその割合も、非COVID-19期が3.0%に対し、COVID-19期は4.3%と増加しておりました。著者らは受診控えの影響と推測しております。
🎤感想
新型コロナ感染初期のデータですが、現在も、マスクや手洗いなどの感染対策が影響しているのか、感染症での受診割合は、以前ほどではないものの、明らかに減少しております。オミクロン株が拡大することによる受診控えも心配ですが、お子様の日常生活が障害されている場合(食べる、寝る、遊ぶ)や嘔吐の場合は2日以内、発熱の場合は3日内で解熱しない場合は元気であっても受診しましょう。