お母様の悩み:舌下免疫療法のことで子どもとケンカになります

先日の外来でお母様より、思春期のお嬢様と舌下免疫療法の事でケンカになるという相談を受けました。

舌下免疫療法とは、アレルゲンを毎日舌下に投与し体をアレルゲンに慣らしていく、という治療法で、国内ではスギ花粉ダニの2種類があります。治療は、1日1回、4~5年間続けていく必要があります。

そのお母さんは、お嬢さんに「舌下錠を服用しなさい」と声をかけるのですが、返事だけして、その後、服用したかどうかは不明のようです。再度確認すると、うるさいなという感じでふくれっ面をするとのことでした。そこで、お母様には診察室の外に出ていただき本人と2人で話しました。

私からは、

・治療効果はすぐには出ず、4~5年続けていく必要があります

・治療により、テッシュの使用量が大幅に減るなど快適に日常生活を送れるようになる可能性があります

舌下免疫療法は100%必須のものではない。出ている症状がつらい時に薬物で抑えて いく方法もある。患者さん全員にすすめているわけではないですよ

・続けても、やめてもどちらでもいいと思います

といった説明をしたところ、本人からは、「続けたい」と返事があり、もう少し

治療継続で様子を見ることとなりました。

当院の看護師のTさんも、お嬢さんが中学生の頃より舌下免疫療法を開始し、症状の辛い人の多かった今シーズンもメガネなしで快適に過ごせたようです。治療中は、ご相談いただいたお母様と同様の親子ケンカ?はあったようです。そのお嬢さんは今では、治療を続けて良かったと言っております。

看護師Tさんにも話に加わっていただき、相談のお母様も気持ちが楽になったと言っていました。来院時は暗い表情だったのが、明るい表情で帰られ、安心しました。同様の悩みを持つ方は、看護師Tさんに話を聞いてもらうと少し楽になるかもしれません。

また、私の方も、保護者主体→本人中心に切り替えていく、治療について定期的にわかりやすく説明していく、最新の論文の情報をわかりやすく説明する、などの努力が必要と思いました。