学生時代に学んだ日本史の内容は変わる?

10月26日の朝日新聞に、薩摩藩小松帯刀ありという記事が載っていた。私は日本史は好きな教科であったが、その名前は全く聞いたことがない。さっそく、記事を読んでみた。小松帯刀は1835年に鹿児島城下に生まれ、21歳で藩主の島津斉彬に仕え、28歳で家老に抜擢される。大政奉還に貢献するが、明治3年 (1870年)に36歳で亡くなった。

薩摩藩といえば、西郷隆盛大久保利通が有名だが、小松はこの10年ほどで注目されるようになったらしい。彼の功績は、第1に、長州藩との連携成立 である。当時険悪な仲だった両藩の関係性を修復させた。西郷隆盛の実績となっているが、盟約を決断したのは上司の小松であったとみられる。第2に大政奉還の推進である。大政奉還とは、徳川将軍家が朝廷に政権を返上したことである。小松は徳川15代将軍徳川慶喜に、政権返上後の事務処理などにも言及しながら、土佐藩後藤象二郎らとともに早期実行を迫り、翌日に決断させた。これまで薩摩藩家老として培っていた慶喜との信頼関係があったから成立したもので、小松でなければ慶喜は受け入れなかっただろうと言われている。では、なぜ幕末のクライマックスにかかわった小松が注目されなかったのか?「これは彼が、明治維新のごく早い時期に亡くなり、業績が西郷や大久保のものとされてきたから」、と幕末史に詳しい神田外語大学準教授の町田氏は語る。

 

先日、外来で中学生相手に、「歴史は語呂合わせが大事だ。いい国作ろう鎌倉幕府

(1192年)知ってるか?」と話したら、中学生のお子様のいる事務のOさんより、

「今はいい国ではないですよ。変わったんです」と言われ絶句してしまった。

歴史は変わらないものと思い込んでいたから、衝撃が大きかったのである。

 

 

小児科開業医の状況は厳しい

ここ最近、小児科開業医の状況は厳しいという記事を度々目にします。

今日は、10月28日の朝日新聞の記事を紹介します。川崎市高津区で開業している「かたおか小児クリニック」の片岡正先生の記事です。

簡潔にまとめました。

(以下、片岡先生の医院の状況)

小児科受診するお子さんはいまではコロナ前の6~7割の水準に戻っています 。2月末に学校への休業要請が発せられて以降、保育園の休園が相次ぎ、ぴたりとこなくなりました。街の小児科医の診療患者さんの大部分は「カゼ」の患者さんです。休校・休園や手洗い・マスクなどの感染予防策により受診患者数は激減しました。クリニック全体の4~5月の減収幅は半減に近い状態でした。

生き残りをかけて5月にオンライン診療の導入を始めました。慢性疾患で定期的に通院している子で、待合室で熱のある人と一緒になるのが心配という方のために始めました。6月までは利用実績がありましたが、7月以降はゼロとなりました。小児科感染するリスクが少なく、さらに感染しても重症化する例が少ないことが指摘されるようになり、クリニックにより来られない事情がなくなったからです。一方で予約を確定させる際に、支払いのためにクレジットカードを登録したり、保険証の画像をアップロードすることが患者さん側のハードルになっているとも聞きました。

医療機関の立場からすると、赤ちゃんの湿疹はスマホをかざしてもらっても見えないし、当然、ぜんそくのヒューヒュー音も分かりません。そのうえ、受け取る診療報酬もオンライン診療では対面診療と比較してかまり低くなってしまいます。

今冬のインフルエンザの流行期には、発熱したがインフルエンザなのか新型コロナなのかわからず、医者に行くのを悩む患者さんも多く出てくるでしょう。専用アプリを使った問診や指針でだいたいのあたりをつけ、検査や対面診療をするにしても、クリニックでの患者同士の交差感染を防ぐことにつなげたいと思っています。親御さんがコロナに感染して療養している子どもさんをオンラインで経過観察していくことを考えています。(以上)

 

読んでいて当院と状況がすごく似ていると思いました。当院でもオンライン診療は現時点ではデメリットの方が多く一時中止しております。

 

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 片岡先生の記事の最後の方のような使い方も想定しておりますが、感染拡大状況や患者さんの動向を見ながらの判断になります。

 

新型コロナの影響は5年は続くでしょうし(あるいは新しい生活様式によりもっと?)

これから少子化も進んでいきます。小児科の20%は運営できずに閉院すると予測しております。

当院だけでなく、ほとんどの方が、厳しい状況と思いますので、当面は予防接種や診断書など書類代を値上げはせずに頑張ろうと思います。

 

先日、小児感染症学会に参加申し込みをしたら、参加記念品として、新型コロナウイルスのクリアファイルが届きました!新型コロナに負けてたまるか~ 👊

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食物アレルギーの災害対策

先日、息子と防災センターに行ったことを機に、防災について考えるようになりました。

 

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 今回は、食物アレルギー研究会会誌 vol20. No.2に掲載された三浦克志先生の

まとめより抜粋しました。

避難所でのアレルギー生活で主に大変だったことは、

1) 食物アレルギー用の食糧が不足する(流通がなくなるため)

2) 避難所内の対応の悪さ (避難所内での理解不足)

3) 誤食が起こりやすくなる (表示の問題)、など。

 

食物アレルギー患者の災害時の必要物のリストは、

・アレルギー対応食品 (アレルギー用ミルクなど)1週間分

・誤食時の緊急薬

・食物アレルギーを周りの人に知らせるプレートやシール

 

災害時のこどものアレルギー疾患対応パンフレットが小児アレルギー学会のHPより

ダウンロードできます。いざという時に備え、ぜひ、ご一読ください。

www.jspaci.jp

 

 

新聞記事より:新型出生前診断 本格議論へ

10月26日の朝日新聞の記事より。簡潔にまとめました。

 

妊婦の血液から胎児のダウン症などを調べる新型出生前診断 (NIPT) について、厚労省は28日、新たな検討部会を立ち上げる。検討部会は、産婦人科や小児科など医療関係者や法学, 生命倫理, 障害福祉の専門家など約20人で構成される。

NIPTは検査の前後に十分なカウンセリングが実施されることなどを前提に大学病院など109か所に限定して実施が認められてきた。今回は、認定制度に合格し遺伝学の知識を備えた産科医がいるなどの条件を満たせば、地域のクリニックでも検査を受けられるようにするかどうかが焦点となる。

検査が受けやすくなる一方、「命の選別」につながる可能性が懸念される。実際に、検査後に羊水検査などで陽性が確定した妊婦の約9割は中絶を選んでいる。

 

日本ダウン症協会の理事で、ダウン症の娘の父親である、大阪医科大の玉井浩先生は

検査を受ける家族に、出生後の子どもの合併症など不安な情報が多く伝わっていると

NIPTの在り方に疑問を投げかける。親の主体的な選択を支援するためには、検査前後のカウンセリング体制は最重要である。しかし、厚労省の調査では、認定施設でもカウンセリングに費やす時間にばらつきはあるなど、施設間に格差のある実態が明らかになっている。(以上、記事のまとめ)

 

新聞には、本質的な議論ができるか課題とありましたが、皆が納得する形までルールを決めることなんて不可能と思います。夫婦が、念のためにという軽い気持ちではなく、理解し、考え抜いたうえで、検査を受けるかどうかを考えるのが大事だと思います。難しいかもしれませんが、産科医だけでなく、小児科医や患者会の方からも話をしっかり聞く機会が欲しいですね。

あとは、誰もが生きやすい社会、親の死後の子どもの生活に心配のない社会を作っていくことが、一番重要なことと思います。まだ何もできていない自分ですが、そこに向けて、昨日よりも歩を進めていきたいと思います。

IT補助申請 落選

10月30日に、IT補助申請が採択されなかったという連絡が届いた。申請の手引きをしっかり読み込んだし、お役所向けの文書の作成経験もある。正直言って、落ちることは全く考えていなかった。どのように皆様により良い診療を提供していくのか考え、ワクワクした日々を過ごしていた・・・。採択されなかった理由は非公開。公式なものなのに、非公開なんて・・・。何かあると思いたくなるし、そう思わないとやってられん。

がっくりきたが、現状でできる事をやっていくしかない。

当院のスタッフは10年以上勤務している方が多い。すっかりの今の仕事の流れに慣れてしまっている。大きな問題がなければ、それでよしとせずに、全ての業務を一緒に見直していきたい。当院を一流のクリニックにするためには、あらゆることを模索していこうと思う。

 

早速、問診票の配布を始めた。以前よりクリニックのHPよりダウンロードできるようにしておいたが、持参してくださる方は5%もいない・・・。自宅にプリンターのある方は意外と少ないようだ。そこで、来院時に配布し、次回受診時にお持ちいただくことを考えた。問診票の活用により、1.診療時間の短縮による待ち時間の減少, 2. 患者さんが聞きたいことを漏れなく確認できる,という大きなメリットが考えらます。是非、ご活用ください。ただし、1人1枚まででお願い致します🥺

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日本小児アレルギー学会の市民公開講座のススメ~ 11/13まで

日本小児アレルギー学会の市民公開講座がWebで紹介されています。

座長の相原雄幸先生は、横浜市大に入局後ずっとお世話になっております。私にとって父親のような存在です(父親がたくさんおります😊)院長先生とも大学病院で一緒に仕事をした期間もあるようです。

佐藤さくら先生は、国立相模原病院時代に大変お世話になりました。私がいっぱいいっぱいになるレベルの、数倍のいや数十倍の仕事を抱えても、常に落ち着いていらっしゃる、すごい先生です。食物アレルギーについて大変わかりやすい話をしてくださると

思います。

平井先生は喘息が専門で、咳嗽音の研究をしていらっしゃいます。私が外来でよく説明する、喘息児の咳嗽は、寝入り多く、真夜中少なく、朝方増えるは彼の論文に基づいています。説明がとても分かりやすい先生と思います。

湯田先生は面識はありませんが、開業医ですが、日本で最も舌下免疫療法に取り組んでいらっしゃる先生の1人です。

 

いろいろな先生の説明を聞くのはとても良い事と思うので、ぜひ、ご視聴ください。

(私よりわかりやすいかも😅)

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第57回日本小児アレルギー学会学術大会 WEB市民公開講座
「こどものアレルギー診療の最新情報」

配信期間:2020年10月31日(土)〜11月13日(金)

座長:相原 雄幸(相原アレルギー科・小児科クリニック)
   高増 哲也(神奈川県立こども医療センターアレルギー科)
演者:佐藤さくら国立病院機構相模原病院臨床研究センター)
   平井 康太(東海大学医学部総合診療学系小児科学/
         東海大学医学部付属八王子病院小児科)
   馬場 直子(神奈川県立こども医療センター皮膚科)
   湯田 厚司(ゆたクリニック (三重県津市)・滋賀医科大学耳鼻咽喉科客員教授

URL: http://jspaci57.umin.jp/lecture/
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日本と海外のインフルエンザ接種の違い vol.2

各国のインフルエンザワクチンの接種状況を紹介します。

国により様々ですね。

 

日本

生後6か月~3歳:0.25ml/回×2回

3歳以上13歳未満:0.5ml/回×2回

13歳以上:0.5ml/回×1回

 

アメリ

生後6か月以より定期接種

初年度は4週間以上の間隔で2回, 以後の追加は年1回

 

イギリス

2~10歳が定期接種対象 

経鼻生ワクチンを1回接種するのが特徴

慢性心疾患など比較的重篤な基礎疾患を持つ児は4週間以上の間隔で2回接種

免疫不全などで経鼻生ワクチンが使用できない児は、不活化ワクチンを初年度は4週間以上の間隔で2回, 以後の追加は年1回

 

※日本ではまだ経鼻生ワクチンは使用されておりません。来年は、当院も少し輸入して希望の方には接種を検討できればと思います。

 

中国

生後6か月~8歳まで年2回の不活化ワクチン接種を推奨

 

韓国

生後6~59カ月は定期接種

 

オーストラリア

全ての小児にインフルエンザワクチン接種を推奨

 

ブラジル

全年齢層でのインフルエンザワクチンを定期接種として推奨

5歳までは毎年2回接種

 

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各国におけるインフルワクチン接種  文献1)より引用

国立感染症研究所のHPで、6歳未満ですが、インフルエンザワクチンは1回接種でも有効という記載を見つけました。

6歳未満児におけるインフルエンザワクチンの有効性:2013/14~2016/17シーズンのまとめ(厚生労働省研究班報告として)

表を詳しく見ると、1回接種と2回接種の効果は同等と思われます。

 

参考文献

1) up-to-date 子どもの感染症 2020 vol.8 p.16-17.