来月より、5~11歳への新型コロナワクチンへの接種が始まります。皆様の判断の一助となるよう、論文の内容を紹介していきたいと思います。
論文:Walter EB, et al: Evaluation of the BNT162b2 Covid-19 Vaccine in Children 5 to 11 Years of Age. N Engl J Med 2022; 386:35-46
✎どんな研究
新型コロナワクチンを2回接種した1510名とプラセボ (生理食塩水)を接種した746名で、
副反応と有効性を比較
✎結果
(1) 局所の 副反応
接種部位の疼痛は1回目, 2回目ともに70%代前半
(2) 全身性の副反応
・2回目接種の方が頻度は高い (発熱7%, だるさ39%, 頭痛24%)
ただし、頭痛はプラセボと大きな差はなし
・強いだるさ、頭痛は1%未満
・リンパ節腫脹は接種群の0.9%
・心筋炎やアナフィラキシーの発症はなかった
(3)中和抗体価
2回目の接種から1ヶ月後の中和抗体は16~25歳と同等であった (接種量は異なる)
(4) 予防効果
ワクチンを1回接種した後の累積発症率をみている。縦軸が累積発症率。横軸が1回目接種からの日数。接種1ヶ月半後頃より、両者の差が拡大している。
2回目を接種してから7日以降の発症は、ワクチン群3名に対して、プラセボ群16名。ワクチンの予防効果は90.7%
✎結論
・5~11歳への新型コロナワクチン (ファイザー)の安全性, 免疫誘導, 有効性が示された
(意見)
短期的な安全性については12歳以上と同じく大きな問題はないと考えられる。しかし、たかだか1500名なので稀な副反応については不明である。また、長期的な安全性も検証が必要である (著者らも考察で述べている)小児の大部分が軽症となると、接種のメリットは社会的な理由がメインとなるが、オミクロンへの効果も不確定となると・・・どれぐらい推奨すべきなのか小児科医としても悩ましいところです