母乳栄養はRSウイルス感染症の重症化リスクを減らす

 先週、RSウイルス感染症がゼロ人でそろそろ流行が終わるかなと思いきや、今週は月・火で4名確認しました。

 RSウイルスとは↓

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今回、母乳育児している乳児は、人工乳で育児している乳児よりも、RSウイルスに感染しても重症化しにくかった、という内容の論文を紹介させていただきます。

 

論文名:Breastfeeding reduces the severty of respiratory syncytial viru infection among young infants: A multi-center prospective study

筆頭著者:Tatsuo Nishimura 

雑誌:Pediatrics International,51; 812-816, 2009

 

以下は、論文の概要です。

 16箇所の小児科を受診した生後100日未満の乳児 (2,500g以上で出生かつ基礎疾患なし) の乳児を対象としております。

 

 RSウイルスの感染が迅速検査で確認された203名を、1) 完全母乳群 88名 (43.4%), 2) 混合栄養群 71名 (35%), 3) 人工乳群 43% (21.1%)に分けました。そして、診断後、10日間経過を追い、入院率, 入院期間, 酸素需要 を比較しております。

 

入院率は、完全母乳群23/88 (26.1%), 混合栄養群 26/71 (26.6%), 人工乳群 15/43 (34.9%)

で、3つのグループで統計学的な差はありませんでした。

しかし、入院期間は完全母乳群4.83±0.2日, 混合栄養群6.27±0.36日, 人工乳群7.8±0.65日と差をみとめました。

論文の図を改変し引用

 酸素投与を要した割合も、完全母乳群5.7%, 混合栄養群12.7%, 人工乳群16.3%と差をみとめました。

 

文献を改変し引用

 多変量解析では、月齢が小さいほど重症化しており、母乳栄養児は人工栄養児と比較し、重症化のリスク (酸素投与を要する) が約75%減少しておりました。

 

以上より、著者は、母乳育児は早期乳児においてRSウイルス感染症の重症化のリスクを減らすと結論しています。

 

著者等は母乳中の免疫物質が重症化減少に関与していると考察しておりました。

(超ざっくりですみません💦)

 

ここ最近、開業医の先生のMLでも、母乳育児の割合が減ってきているという投稿を目にすることが少なくありません。母乳にはこんないいこともあるよ~ということでこの論文を紹介させていただきました