妊娠中の解熱鎮痛薬はカロナールで

先日、新型コロナ感染拡大の影響で、外来で最も処方する、解熱鎮痛薬である、カロナール (一般名アセトアミノフェン)の出荷調整が報道されました。 

カロナール、需要急増で出荷調整 国内シェア8割超のあゆみ製薬 | 毎日新聞 (mainichi.jp)

 

それに関連して、TVにコメンテーターとして出演することのある医師が自ら恥をさらしてましたね。

久住医師が激怒、カロナール不足で代薬を処方したら変えろと命令「背後から弾打ってくるのは医師だった」(中日スポーツ) - Yahoo!ニュース

彼は、この出荷調整のニュースを受けて、妊婦さんにロキソニンを処方したところ、産科クリニックより、カロナールに変更した方がよいというアドバイスがあったことに怒っていたようです。

 

妊娠中にカロナール (アセトアミノフェン)に使用は問題ありません。その一方で、

妊娠後期のNSAIDs (ロキソニン, バファリンボルタレン, ブルフェン, セレコックスなど) は注意が必要ですね。胎児循環に重要な動脈管の早期閉鎖のリスク羊水量減少のリスクがあります。

 

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文献より

妊婦へNSAIDs使用する場合「適宜、羊水量の確認」を―産科婦人科学会・産婦人科医会 | GemMed | データが拓く新時代医療

 

なお、授乳中は基本的にどの解熱鎮痛薬でも問題ありません。

 

妊婦さんが困らないように、大きいお子様へのカロナール錠剤に処方は、全身状態が悪そうでなければ、いつもより少なめの処方となること、ご了承のほどよろしくお願い致します

 

その後、この医師が自らの間違いをみとめ、薬剤師や産科医に謝罪したかは明らかではありません。

 

参考文献

八鍬奈穂, 患者へのリスクコミュニケーションの実際から頻用薬-抗菌薬・解熱鎮痛薬. 日本医師会雑誌 2019, 148 (2): 229-233.