お母様からの質問:妊娠中 (授乳中) に解熱鎮痛薬を服用しても大丈夫でしょうか?

妊娠中や授乳中にお子様のカゼがうつってしまうことは比較的よくあると思います。解熱薬や痛み止めがあればな・・・と思いつつ、我慢してしのいだ方も多いのではないでしょうか?今回は、妊娠中 (授乳中) に解熱鎮痛薬を服用しても大丈夫でしょうか?

というお母様の疑問にお答えします。

 

まず、妊娠中です。

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文献より

アセトアミノフェンにより、先天異常発生のリスクの増加はなさそうですね。妊娠後期のNSAIDs (バファリン, ボルタレン, ブルフェン, セレコックスなど) だけ注意が必要ですね。胎児循環に重要な動脈管の早期閉鎖のリスク羊水量減少のリスクがあります。

妊婦へNSAIDs使用する場合「適宜、羊水量の確認」を―産科婦人科学会・産婦人科医会 | GemMed | データが拓く新時代医療

 

授乳中は、基本的に問題なしですね。

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文献より引用


上の表の見方ですが、

 1.タンパク結合率

 高いものは乳汁中への移行が限られます

2.RID (相対的乳児投与量) 

母乳を介して乳児が摂取する薬剤量/ 乳児の治療量×100 

10%未満であれば、児に影響が及ぶ用量を摂取することにはならない

 

いずれの薬剤もタンパク結合率が高く、RIDが低いので、授乳中の服用は差し支えないと思われます。

 

参考文献

八鍬奈穂, 患者へのリスクコミュニケーションの実際から頻用薬-抗菌薬・解熱鎮痛薬. 日本医師会雑誌 2019, 148 (2): 229-233.