お母様からの相談 夜泣きに困っています

外来で、時々、赤ちゃんの夜泣きについての相談をいただきます。

その時、一般的な説明として、

 ・就寝時刻・起床時刻を決める

 ・昼寝を長くしすぎない

 ・夜は暗く静かにする

 ・夜の授乳やおむつ交換は暗いところで静かに行う

 ・寝かせる場所はいつも同じに

 ・寝るまでのスケジュールを習慣化する

   ・22~23時など遅い時刻にたっぷり授乳する

 

などを確認しますが、がっかりした様子とともに「すでにやっています」と返ってくることが少なくありません。これまでは、「そのうち治るさ」「抑肝散」という漢方薬が著効する場合があります。試してみましょうか?」しか言えませんでしたが、興味深い報告をみつけたので共有させていただきます。

 

文献タイトル赤ちゃんの夜泣きは予防・改善できる

著者:足達淑子

雑誌:Modern Physician 37 (8) 2017; 834-836.

 

ポイント1. 乳児の睡眠の理解

寝ながら動いている (声を出している・顔をしかめている) 時に(実は覚醒していない)

抱き上げたり、動かしたりしない。抱き上げることで覚醒させてしまう。

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文献に追記し引用

ポイント2:認知行動療法

夜泣きを一種の学習された癖(習慣)とみなして対応する方法。欧米では有効性は検証すみ。

例えば、寝渋りにより、保護者がすぐに授乳・抱く・あやすをしていた場合。行動 (寝渋り) により、報酬 (保護者による授乳・抱く・あやす) が得られることを学習し、

行動が強化されていく。消去といって、寝渋りに反応しなくすることで、この循環を断ち切ります。夜泣きの場合も同様です。これで、最初の2,3日は悪化するが、ほぼ1週間で落ち着くようです。

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文献より引用

しかし、この方法って保護者にとっては負担がかかりますよね。

段階的に取りくんでいく方法として、泣き出したらしばらく (5~15分) 待ち、待ち時間を徐々に長くする方法があるようです。効果が出るのに時間がかりますが実行しやすいかと思います。

 

発達支援外来のベースになっている、行動療法の理論が夜泣きにも出てきたので

驚きました。お母さん方の悩みの一助となればと思います。