学会メモでは、各種学会のオンデマンド配信でとても有用だった内容を紹介しております。今回は、日本アレルギー学会のシンポジウムより、黄砂についての講演がとても面白かったので、演者の先生の迷惑にならなさそうな範囲で共有させていただきます。
黄砂とは中国の砂漠から飛来する砂で春に多く、北米にまで到達します。黄砂の成分は、排気成分 (硝酸塩, 硫酸塩), 微生物成分 (細菌, 真菌), 地殻成分 (シリカ, アルミニウム塩)を含み、粒子径は吸入ステロイド薬の粒子ほどの大きさです。したがって、容易に肺まで到達します。
演者の先生が行ってきた調査を紹介していただきました。
・黄砂日から1週簡以内は喘息発作で入院するリスクが1.8倍高い
・黄砂の予報を得る・外出を控えるなどの行動が症状出現を抑える
・ロイコトリエン受容体拮抗薬が症状出現を抑える (吸入ステロイド薬はおさえない)
※ロイコトリエン受容体拮抗薬:モンテルカスト、プランルカスト
・黄砂はアレルギー性炎症を誘導する
・黄砂はアレルギー反応を増強する (スギ花粉症単独<スギ花粉症+黄砂 (低濃度でも)
・マウスの実験でも、ロイコトリエン受容体拮抗薬は黄砂の関与するアレルギー反応を 抑制する
黄砂によるアレルギー反応への対応策として、
・(海外論文) 喘息重症度が高いと環境汚染の影響を受けやすい
→日頃のアレルギー疾患のコントロールが重要
・黄砂の飛散状況の情報を得る
環境省HP 黄砂情報提供ホームページ (jma.go.jp)
大気汚染物質広域監視システム(そらまめ君)ホームページ (taiki.go.jp)
→ 黄砂の多い日は、不要不急の外出を控える, 洗濯物は外で干さない
ロイコトリエン受容体拮抗薬の話はとても興味深かったです。喘息の既往のある児が黄砂の多い時期に咳をしていたら処方を検討してみようと思います。でも、その前に日々の症状コントロール状況の確認をしないといけないですね。