【学会メモ】PM2.5除去HEPAフィルター

学会メモでは、各種学会のオンデマンド配信でとても有用だった内容を紹介しております。今回は、日本アレルギー学会のシンポジウムより。PM2.5除去HEPAフィルターについて講演がとても面白かったので、演者の先生の迷惑にならなさそうな範囲で共有させていただきます。

 

PM2.5とは、大気中に浮遊している2.5μm(1μmは1mmの1/1000)以下の小さな粒子のことで、従来から環境基準を定めて対策を進めてきた浮遊粒子状物質(SPM:10μm以下の粒子)よりも小さな粒子です。PM2.5は非常に小さいため、肺の奥深くまで入りやすく、呼吸器系への影響に加え、循環器系への影響が心配されています。

 

この発表では開発中のHEPAフィルターの紹介がありました。福岡県で実際に人に住んでもらい5年間の検証をしています。このフィルターによりPM2.5がほとんど除去されるようです。窓やドアが開くとPM2.5が家の中に入ってきますが、15分で除去されるようです。スギ花粉の捕捉効果もあり、界面活性剤で不活化も可能なようです。50歳ぐらいの方で効果を検証しておりましたが、開始前と5年後で、統計学的な有意差はでなかったものの、通常は加齢に伴い上がる血圧が収縮期・拡張期ともに10mmhgほと低下しておりました。また、通常は加齢により低下するはずの呼吸機能が少しUPしているデータが提示されました。

 

従来のHEPAフィルターの寿命が短いという弱点なく、5年間使用でき、またコストも高くないようです。

今後が楽しみです。