先日は、小児の片頭痛の特徴について解説しました。今日は治療について解説し、後は最近のトピックスをお話できればと思います。
【生活指導】
・チーズやグルタミン酸の摂取をさける
・カフェイン(コーヒー, コーラ)の摂取をさける
・スマホやゲームは最終の使用時間を決める
【薬物療法】
1.急性期の治療
・ブルフェン
いずれも発症早期に服用しないと効果は認められないです
痛くなったら我慢せずすぐに服用しましょう。
嘔気・嘔吐を伴う時は制吐薬を併用する。
これらで効果の乏しい場合は少量のトリプタンを使用することもあります。
わが国ではスマトリプタン (イミグランR)とリザトリプタン (マクサルトR)が小児片頭痛に対して有効性と安全性が示されています。
ただし、眠気やだるさ、喉や胸部の締め付け感を副作用として認めることがある
2.予防薬
急性期治療による改善が乏しい時や頭痛の頻度が月6日以上や嘔吐を伴うなど重篤な頭痛発作である場合に考慮します。ただし、頭痛予防としての保険適応はありません
・シプロプロフェン (ペリアクチンR):10歳以下。熱性痙攣・てんかんの既往がある場 合は避けます。
・抗うつ薬 アミトリプチン (トリプタノールR) :10歳以上
・抗てんかん薬:バルプロ酸 (デパケンR, セレニカR) :催奇形性が問題
トピラマート (トピナR)
・β遮断薬:プロプラノロール (インデラルR)
・漢方薬:五苓散
【卵円孔開存との関連について】
卵円孔開存 (PFO) とは、左心房と右心房の間に穴があいている状態で、一般人口の15~25%に見られます。
それに対して、「目がチカチカする」などの前兆のある片頭痛 では10~90%, 前兆のない片頭痛では11~34%の有病率で、片頭痛とPFOの関連が指摘されています。PFC閉鎖による有効性が期待された時期もりました。しかし、3つの比較対照研究では、PFO閉鎖による頭痛の改善はいずれの研究でも示されませんでした。
参考文献
1) 杉山 華子, 【小児の学際的な睡眠医療 基礎から臨床をつなぐ】最新の小児睡眠医療を行うために 小児期の頭痛と睡眠, 小児科診療. 2020 ;83:135-1340.
2) 菊井 祥, 他. 【頭痛に関する最近の話題】片頭痛, ペインクリニック. 2021;42:169-181.