小児の片頭痛の特徴

頭痛は小児科外来を受診する理由としては多い症状です。小児科外来を受診する頭痛の約75%は片頭痛とされています。

片頭痛の有病率は、わが国で小中学生およそ3,000人を対象とした調査では、小学生3.5%, 中学生5%でした。

(Goto M, et al. Characteristics of headaches in Japanese elementary and junior high school students: A school-based questionnaire survey. Brain Dev. 2017 Oct;39(9):791-798.)

発症機序は

何らかの刺激で放出された、カルシトニン遺伝子関連ペプチド (calcitonin gene-related peptide CGRP) , サブスタンスPヒスタミンなどの炎症性物質が放出され、血管の拡張と三叉神経を中心とした神経原性炎症が引き起こされることによります。

症状の特徴は

・反復性の片側性または両側性の拍動性頭痛 ※小児では拍動感を訴えない事が多い

・小児は前額部が多い

・5~15歳での発症が多い。

・成人では女性に多い(男性の3倍)が、12歳以前の小児は男女同数

・中等度~重度の強さ

・朝に起こりやすい

・頭痛は2~72時間続く (成人では4~72時間) 

日常的動作により増悪する

悪心, 嘔吐, 光過敏, 音過敏, 臭い過敏を伴う事が多い

ロディニア (異痛症)という、眼周囲、頭皮、上肢などに本来痛みを感じない刺激によっても痛みや不快なピリピリ感を感じることがある。

目の前がチカチカしたりぼやけたりする視覚的前兆を伴う事がある (10~30%

・肩こりは片頭痛の約70%に予兆(前駆症状)として認める

・問診では、片頭痛の家族歴(とくに母親)や幼児期に吐きやすい・車酔いしやすい体質がなかったか  確認することが重要

鑑別しないといけない頭痛は、

緊張型頭痛:重たいカバンを持ちながら通学していたり、連日の部活動で日常的に外力に耐えることによる頸椎の歪み、スマホやゲームによる肩こりより起こる頭痛。両側性で後頭部あるいは頭全体に圧迫感・締め付け感のある軽~中等度の頭痛を認める。

運動や入浴により増悪することはない。家族歴は少ない

二次性頭痛 (他の疾患がベースにありそれに伴いおこる頭痛) には以下の頭痛がある

起立性調節障害に伴う頭痛

感冒に伴う頭痛

副鼻腔炎に伴う頭痛

・脳腫瘍にともなう頭痛 (連日の頭痛で日を追うごとに悪化)

 

日常生活に支障のある頭痛が続く方は気軽にご相談ください。詳しい問診により原因を探っていきます

 

参考文献

杉山 華子, 【小児の学際的な睡眠医療 基礎から臨床をつなぐ】最新の小児睡眠医療を行うために 小児期の頭痛と睡眠, 小児科診療. 2020 ;83:135-1340.