先日、薬の処方を最小限にしたカゼ診療への思いを記事にしました。
すぐには治療をがらりと変えることはできませんが、まずは根拠とする論文を少しずつブログで紹介していきたいと思います。
論文は、
タイトル:小児科外来を受診した軽症気道感染症の経過に影響する因子について
筆頭著者:西村 龍夫
雑誌:外来小児科. 2014.07;17(2):137-144.
まずは、研究の概要ですが、
【対象】
2012年9~10月の間に21施設の小児科をカゼで受診した、生後6ヶ月~6歳の小児
205例を対象。
【方法】
受診した3~4日後に電話で保護者よりお子様の状態を聞き取り調査
【結果】※咳嗽にしぼり、紹介します。
205例中167例が解析対象で、咳嗽をみとめたのは100例
電話調査時(初診から3~4日後)には、49.5%が改善, 26.3%が不変, 24.2%は症状が悪化
咳嗽の改善は、両親が喫煙していると (喫煙していない人と比較して) 0.33倍, 鎮咳薬
を服用すると0.29倍であった。つまり、両親が喫煙している場合、鎮咳薬が処方されている場合は咳が長引く可能性が示された。
この調査は、咳の回数を測定した客観的な調査ではなく、保護者の印象を聞き取りによって調査したものです。著者の先生は、咳止めの効果に期待する保護者が、かえって咳に注目してしまい、咳に過敏になってしまったと考察しておりました。
咳嗽は続くものであること、自然に改善することをお話するのが大事ですね
また、両親の喫煙について外来であまり確認しておりませんでしたが、必須ですね