論文紹介:小児のスギ花粉症への舌下免疫療法の治療1シーズン目の効果と安全性

今シーズンは昨年と比較しスギ花粉の飛散量が多く、例年より新たに舌下免疫療法を希望される方が多い可能性があります。

今日は、小児に対するスギ花粉症への舌下免疫療法を検討した論文を紹介します

舌下免疫療法を受ける検討中の方の参考になれば幸いです。

 

筆頭著者:湯田厚司

タイトル:小児のスギ花粉症への舌下免疫療法の治療1シーズン目の効果と

     安全性の検討

雑誌:アレルギー 69;  909-917

発表年:2020年 

 

対象2019年6月~12月の間にスギ花粉症への舌下免疫療法を開始した症例が対象となっております。下は論文の表です。

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小児が103例 vs 成人が89例。平均年齢は小児が10.8歳に対して、成人は38.9歳。舌下免疫療法の平均期間は、小児が6.6カ月に対し、成人が6.2カ月であった。スギ花粉の抗原特異的IgEは、小児が70.6に対し、成人が32.4で小児例の方が高値であった。

 

方法スギ花粉飛散ピーク時の症状と副反応を比較

アレルギー性鼻炎に対する鍼治療の検討(第3報)-スギ花粉飛散期 ...

結果:

1) 効果について

改善:他の薬物を併用せずに鼻症状スコアがすべて1以下

著明改善:他の薬物を併用せずに鼻症状スコアがすべて0 

改善は、小児22/103 (21.2%)に対し、成人 19/89 (21.3%)で同等

著明改善は小児12例 (11.5%)に対し、成人が3例 (3.4%)で小児の方が有意に多かった

2) 副反応

・小児で49/103 (47.6%)に対し、成人54/89(60.7%)で統計学的な有意差はなかった

・のどの痒みと耳の痒みは小児より成人が多かった

・副反応の持続期間は2か月以内が多く、3か月以上続いたのは小児1例 (3か月)と成人

 5例 (最長7カ月)であった

 

(感想)約半年の治療でも効果を認めることが示された。また、低年齢のうちに治療を始めた方が有効な可能性も示唆された(これは言い過ぎか?)。治療開始前の症状についての情報がなく、どれぐらい症状が改善したのかわからなかったのが、残念である。